第四十三話 阿波野君が気に入れられてその四
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「奥さんもいるから」
「会長さんの」
「そう、あくまで結婚していたらだけれど」
その場合にしてもというのです。
「一人じゃないからね」
「いけるんですか」
「教養掛をさせてもらう時は教会にいないけれど」
詰所に詰めるから当然と言えば当然です。
「留守は奥さんが守るしね」
「あっ、奥さんあってですね」
「そう、女の人はおみちの土台なの」
実際に天理教でよく言われている言葉です。
「教祖ご自身が女性でしょ」
「それで婦人会もあって」
「女の人がとても重要な宗教だからね」
「そういえば奥華の前の前の大教会長さんは女の人でしたね」
阿波野君はこのことを言ってきました、このことは事実です。
「女の人でも会長さんになれるんですね」
「そうよ、ただね」
「基本は、ですか」
「あくまでご主人が会長さんになるから」
このことは大抵の教会でそうです、女の人がなられる場合は息子さんが跡を継がれるまでの所謂つなぎの場合が多いです。
「お婿さんを迎えたりするのよ」
「そうなんですね」
「だから阿波野君もね」
私を見てにんまりとしてきたお母さんでした、変な笑顔です。
「頑張ってね」
「はい、伏せ込んで成人してですね」
「いい会長さんになれる様になってね」
「頑張りますね」
「そうさせもらいます」
「是非ね、そして千里もね」
今度は私にお話を振ってきました。
「頑張っていい奥さんになってね」
「それはわかってるけれど」
「けれど?」
「何で私の方を見るの?」
それが凄く気になります、何故か阿波野君と一緒にいるとこうして誰かににやにやと笑いながら見られることが不思議でなりません。
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