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真田十勇士
巻ノ百二十 手切れその四
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「豊臣の力ならばじゃ」
「切支丹の者達がそう動いても」
「抑えられる」
「そしてそのうえで」
「南蛮の学問等がわかるのじゃ」
「だからですか」
「切支丹は認める」
 この考えは変わらないというのだ。
「わらわはそうする」
「どうしてもですか」
「そうじゃ」
「幕府はこのことだけはと言っていますが」
「天下人は豊臣じゃ」
 まだこう言う茶々だった、大坂城からは長い間一歩も出ておらず外のことを知らないからこその言葉だった。
「ならばじゃ」
「このことも」
「変えぬ」
「左様ですか」
「何があろうともな」
「ですがそれは」
 常高院も必死だ、姉を必死に説得にかかる。だが。
 茶々はどうしても聞かない、それで遂に彼女も諦めてだった。
 肩を落として江戸に戻りお江にことの次第を話した、するとお江も肩を落としてこう言った。
「何もかもがですね」
「これで」
「終わりですね」
「最早」
「ではことの次第を」
「上様にですね」
「お話してきます」
 お江は肩を落としたままこう姉に言ってだった。
 秀忠にことの次第を話した、すると秀忠も苦い顔で言った。
「ではな」
「はい、それでは」
「戦じゃ」
 これが秀忠の言葉だった。
「最早な」
「わかり申した」
「江戸は竹千代が守る」
 自身の次の将軍である彼がというのだ。
「そしてそなたもな」
「はい、大奥をですね」
「これまで通り頼む」
 お江にも言うのだった。
「そうしてもらうぞ」
「わかり申した」
「しかし出来るだけな」
「右大臣様はですか」
「大御所様のお考えではな」
 戦になってもというのだ。
「助けられるらしい」
「それでは」
「そのことは安心せよ」
「わかりました、それでは」
「ご苦労だった」
 妻を労いもした。
「ではな」
「後のことは」
「我等がやる」
 優しい声であった、その優しい声で妻を下がらせて休ませてだった。自身は大奥から出てそのうえで。
 幕臣達を集めてだ、強い声で告げた。
「戦の用意じゃ」
「はい、大坂との」
「そちらのですな」
「大名達に告げよ」
 天下の彼等にもというのだ。
「兵を出す様にとな」
「そしてですな」
「我等もですな」
「兵を出す」
「幕府もまた」
「そうする、二十万の兵でな」
 これだけの数を出してというのだ。
「大坂に向かうぞ」
「わかり申した」
「では二十万の軍勢を以て」
「大坂に向かいましょうぞ」
 幕臣達も応えた、そしてだtた。
 家康もだ、駿府にいる幕臣達に告げた。
「こうなっては致し方ない」
「それでは」
「これよりですな」
「兵を出す」
「大坂に向けて」
「そうする、しかしわかっておろう」
 家康はここで
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