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提督はBarにいる・外伝
正規空母・瑞鶴と提督の話
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休みでな。当時高3で既に進路も決まってた俺とダチ数人でスノボでもしに行こう、って話になってな。冬休み前から計画を立てて、スキーのパック旅行を予約したんだ。つっても、金のねぇ俺達だから移動は高速バスの低予算旅行。スキー場は青森の某所、って事になった。

 んで、その旅行への出発日。ちゃんと全員集まった俺達は、美人なバスガイドに期待しつつバスへと乗り込んだ。しかし、ガイドさんは小太りのオバチャン。なんだBBAかよ、と少し……いやかなり凹んだ俺達は意気消沈したままバスに乗り込んだ。

 だが、このオバチャンバスガイドがベテランならではのトークで面白く、道中は中々楽しませてくれた。そしてバスが消灯時間になり車内が薄暗くなると、近くの席に座っていた俺にオバチャンが話しかけてきた。

『そういえば知ってるかい?もうすぐ八甲田山の麓に差し掛かるけど、冬の八甲田には“出る”って』

『いや、聞いた事が無いっすね』

 お前らは知ってるか?八甲田山遭難事故の話。

瑞鶴「あ、私知ってるかも。それって雪中行軍訓練中の事故って奴でしょ?」

 そうだ。太平洋戦争より前の日露戦争……ロシアが上陸して攻めてきた時に備えて、1902年・冬の八甲田山で行われた雪中行軍訓練。装備がショボかったり参加者の認識の甘さで210人中199人の死者を出した日本史上最悪と言われている遭難事故だ。

蒼龍「うぇ……210人の内11人しか生き残らなかったの!?」

飛龍「損耗率90%以上とか、ヤバすぎ……」

 生き残っても、手足が凍傷で使い物にならなくなったりしてたらしいがな。寒さの余り、発狂して全裸になり全身凍傷の死体とか、凍りすぎて粉々になった死体とかが現場には転がってたらしい。その事件が終息してから、八甲田山付近を通る旅人や近くの軍の駐屯地には、冬場に大量の人が歩く足音や行軍ラッパの音が響いていたらしいな。当時化けて出てきた連隊の連中に、駐屯地の指揮官が『靖国で供養する』とでまかせを言ったせいで怨みが増した、なんて話もあるらしいが。

 で、本題はここからだ。バスガイドのオバチャンが言うには、八甲田山を通る時にたまにだが沢山の人が歩く足音がするらしい。ザッザッザッザッ……と軍隊の行進するような規則正しい足音が。んで、それを聞いた奴は手足に刺すような痛みを感じるらしいんだよな、まるで凍傷に掛かったみたいに。同じバス会社のバスガイドも、何人も経験しているらしい。

赤城「遭難した連隊の方々の痛みを追体験しちゃうんですか……」ゾクリ

 勿論、俺はそれを鼻で笑った。幽霊なんて信じちゃいなかったしな。アホ臭い、と俺は車内で配られた毛布にくるまって目を閉じた。

 それから数時間位経った頃だったろうか。不意に俺は車内でヒヤリとした空気を感じたんだ。け
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