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KANON 終わらない悪夢
124香里さん鳳凰座の聖衣を纏う
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ど良かったか聞かれたような気もしたが、病院の住人への質問として、現在の体の調子で答えた。
「そうですか、もう聞いているかもしれませんが、私たちはこの地域の伝承にある、妖狐の血族なんです。ですから、名雪や祐一さんと交わると、力を与えられて不治の病でも治ってしまうんです」
「はい」
 何度か偽マコピーにも術混じりで問い質されたり、舞お姉さまの魔物にも教えられ、処刑中にも色々聞かされて、大体の事情を知っていた香里。
 何より、天上の快楽とか妖力とか、体の隅々にまで叩き込まれ、今度こそ間違いなく妊娠していて、お腹の中に6つぐらいの命を感じている母親の顔で答えた。
 香里は倒れてすぐに治療?を受けたので、病棟の子供のように黒い病魔に取り憑かれていたり、地獄に引き込もうとする腕や触手には掴まれていなかったが、今の満たされた肉体と心が、その特殊な話を理解させてくれた。
「明日、あなたと栞さんは倉田の分家、お爺さんの実家に呼ばれていますね? その相談に来ました」
「はい」
 秋子なので臥煙さんぐらい何でも知っているが、栞の名も出たので、栞から聞いたのだと思う。
『名雪、真琴、少し外で待っていて』
「「はい……」」

 名雪たちを外に出し、聞かせたくない話を耳に入れなかった秋子。
「香里さん、これから私達の世界では、貴方が祐一さんの婚約者と公表します」
「え? いいんですか? 栞は?」
「あくまで表向きの話ですが、学校や町中では貴方の方が有利なようですね。私も邪魔はしません。可能なら祐一さんを奪い取ってみなさい」
「はい、そうさせてもらいます」
 香里はいつものような不敵な顔をして、口の端を吊り上げて笑った。
『それと、これから言う話は私の未来予知です。貴方達が明日までに大きな力を得ない限り、変わることのない事実だと思って聞いて下さい』
「はい……」
 秋子の真剣な表情からも、嘘では無いと信じる。
『栞さんとも話しましたが、貴方達姉妹は明日、母方の権力者に献上され、ご両親は今までの養育費として、端金を持たされて追い返されます』
「ええ、そうなりそうな雰囲気ですね」
 栞が能力を持ったり祐一の婚約者になった以降、母親の目つきが変わり、実家に頻繁に報告して、見たこともなかった親戚の見舞客に、自慢話を繰り返しているのには気付いた。
 そして、お腹の中の子どもの力も加わり、未来を足し算引き算できる状態の香里には、両親が金や権力の代わりに娘達を差し出して、裕福な暮らしをさせるために送り出すのも想像がついていた。
『その時、栞さんでは戦えません。家の大きさに潰されて、女同士の虐めや仲間はずれ、婚約者としての地位を失わせて自分が成り代わるために、最悪、貴方達は男をけしかけられて乱暴されます』
「そんなっ、酷すぎるっ!」
 被害が自分にも
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