第二章 俺たちの、アニメだ
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ら真面目に、現代人の感性を取り入れて作るのだ。
構成は単純で、
オープニング。
Aパート。
アイキャッチ。
Bパート。
エンディング。
というもの。
まだ、エンディングに関しては、どうするかまったく決まっていない。
それ以外には、もうコンテ作りも終了して製作活動に入っている。
Aパートに関しては、もうほとんど完成している。
オープニングも、ネット公開したものからかなり修正を加えている。敵や戦闘シーン、仲間、といった部分を追加したのだ。
現在メインで取り組んでいるのは、Bパートだ。
作っては鑑賞し、意見を述べ合い、作画の修正、場合によってはコンテ段階から修正を施していく。
プロの現場のやり方など知らないが、おそらくかなり効率が悪い方法なのだろう。
と、定夫は思っている。
でもこれが、素人が妥協せずによりよいものを作るための方法なのだ。
おれたちのアニメを、作るために。
やがて、学校は夏休みに入った。
二度とない高校二年生の夏休みを、定夫たちはこの作業のみに費やした。
のみ、というか、まあ「はにゅかみっ!」などはかかさず観たが。
二学期が始まる頃、
ついに、彼らの活動に大きな区切りがついた。
オープニングからエンディングテロップまでの、映像部分がすべて完成したのである。
まだ音は入っていないが、アニメで大切なのは映像。
彼ら三人は、短い月日で退魔少女アニメを作り上げたのだ。
これに満足せずに、なにに満足せよというのか。
岬の先端から、暮れ行く真っ赤な太陽を見ている三人。
腕を組んで、潮風を浴びている。
レンドル定夫は、右の鼻穴にガーゼを詰めている。
疲労と眠気に襲われて、朝礼の時に直立不動のまま受身も取らず顔面から倒れて、鼻骨骨折したのだ。イメージではなく、現実に。
腕を組み潮風を受け続ける彼ら三人の表情は、満足げ、誇らしげであった。
満足げ、どころではない。
自分たちの力量を遥かに上回る、素人としては完璧に近い作品を作り上げてしまったのだから。
どどーん。
どどどどーん。
ざぱああん。
遥か眼下に波の音。
どどーん。
ざぱああん。
ぱああん。
遥か眼下に波の音。
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