第二章 俺たちの、アニメだ
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先ほどとは別の女子生徒たちが、大騒ぎバカ騒ぎしながら自分たちを指さしつつ近付いてきて、すれ違う瞬間だけ廊下に張り付くようにして、騒ぎながら小走りで逃げて行ったのである。
「また、イシューズか……」
定夫は、ぼそり呟いた。
イシューズ。
いしゅーず。
異シューズ?
いいシューズ?
なんなんだ。
一体なんなんだ。
靴がどうこう、ということなのか。
他の、物理的な、なにかなのか。
それとも、
石臼、意志薄、などからの連想であるとか。
……まあ、女子ごときに、なにを思われようと、どうでもいい。
萌えない女子など、どうでもいい。
お、いいなこのフレーズ。素晴らしい。
そうだ、
萌えない女子など女子ではない。
「はにゅかみっ!」の珠紀琴乃や、「サイコー」の神成《なり》るる江のような、そんなヒロインから軽蔑の眼差しを受けたならば落ち込みもしようが、名のないモブキャラどもになにをいわれようが、どうでもいい。屁でもない。
背景。そう、あんなやつらは、おれの人生の、単なる背景だ。
まあ、やたら激しい精神攻撃を仕掛けてくる忌々しい背景ではあるが。
ともかく、オタクであるがゆえの不利益などは、とっくに覚悟をしている。
笑いたくば笑え。
罵りたくば罵れ。
オタク人生、ただ堂々としていればいい。
天上天下唯我独尊ッッ!
と、己が惨めさを吹き飛ばすべく脳内ハイテンションになって、右手の人差し指を天井へと立てようとした瞬間であった。
どんっ。
定夫のぶくぶく肥満した肉体は、四、五十キロは軽いと思われる男子生徒との衝突に、あっけなく吹っ飛ばされていた。
そして、後頭部を廊下の床にごっちと強打した。
「うぎゅううう」
「うぎゅうじゃねえよ。てめえ、どこ見てんだよ、デブ! ブタッ!」
罵声と同時に、脇腹を蹴飛ばされていた。
「つつっ、つっつ、ちゅみみみみ」
定夫は驚きと激痛に混乱して、わけの分からない呻きを発した。
その激痛の中、なんとか薄目を開けると、ぶつかった相手は山崎林太郎という隣のクラスの不良生徒であった。
「もも、申し訳ありませんでした」
苦痛をこらえなんとか立ち上がると、山崎林太郎に深く頭を下げた。
お辞儀をするとお腹が非常にキツイ。しかし背に腹は変えられない。もしも背に変えられたら、とんでもなくデブな背中になってしまうというだけだが。
「なにが申し訳ないだ。太ってんじゃねえよ、てめえ!」
「ぜぜ、善処する所存でございます!」
「デブがぶつかってくるから
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