暁 〜小説投稿サイト〜
龍が如く‐未来想う者たち‐
井上 慶介
第一章 禁じられた領域
第二話 幹部の接触
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上司の名を叫ぶ井上に、犯人がピクリと反応する。
ゆっくり振り返る男は、ニタリと笑っていた。

「お前か、井上って奴は……」

振り返った男の顔に、見覚えはない。
東城会の代紋を付けた、緑のバンダナの男。

「誰や……?」

「俺は喜瀬。東城会喜瀬組の組長、喜瀬晃司だ。神室町でボコボコにした奴ら、覚えてるか?」

やはり、神室町の男と関係があった。
恐らく奴らは、喜瀬と名乗ったこの男の部下なのだろう。
危険を察知した井上は、姿勢を低くして身構える。

「わかってるんだな、お前がしている事」

「あぁ。復讐の為の、第一歩って事やな!!」

屈んだ身体をバネの様に伸ばし、飛びかかろうとする井上。
それに対抗せんと喜瀬も身構えるが、何者かの乱入が全てを止めた。
黒コートの、この時期に似合わない格好。
その人物が間に入ると、喜瀬も井上も思わず固まる。

少しの沈黙の後、黒コートの誰かは井上の手を掴んだ。

「来い!!」

「えっ!?ちょ……」

「良いから逃げるんだ!!」

あまりの力強さに抵抗できるはずも無く、井上はそのまま引っ張られていく。
上司の奈浜が気になり振り返るが、そこに奈浜の姿は無い。

「お前の上司は、俺が運んだ。今は気にすんな」

「あんた、何でその事を……」

それ以上、会話は続かなかった。

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