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フルメタル・アクションヒーローズ
後編 侍と忍者
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れと、あの愚息は警察管轄の着鎧甲冑もいくつか裏で買収していたそうだ。余罪はまだまだ出てくるだろう」
「橘花総監も、気苦労が絶えませんわね。で、則宗と犬の介は制圧に何時間掛かると?」

 久水流を教えた二人の弟子。かの一煉寺龍太を超えるために練り上げた「正義の使者」である彼らを想い、茂は不敵な笑みを浮かべていた。

「あと一時間も掛からない、だそうだ。まぁ、当然だろう。ワガハイが直々に鍛え抜いた、精鋭中の精鋭なのだからな」

 ――だが、その一方。梢は、胸中に一抹の不安を抱えているようだった。

「でも……迂闊なミスで、正体が民間人にバレたりしないでしょうか。あの子達、実力は確かだけど少々詰めが甘いというか……」
「心配いらんだろう。確かに本来の規定においては、テストヒーローの個人情報が民間人に露見した場合は情報漏洩の阻止のため、そのヒーローを任務から降ろさねばならん。……しかし例外はあるし、そもそも民間人自体がほとんどいない空間なのだ。その心配は必要あるまい」

 ◇

 ――蛭浦グループ本社。
 五野高を含む、東京の一部区画を牛耳る大企業グループ。その運営を統括している、八十階建ての超高層ビルだ。

 その正門前に、二台のレーサーバイクが停まる。猛烈な速さでアスファルトを駆け抜けていたその二台は、正門の近くでピタリと停車していた。

「本社で『お楽しみ』ってわけか……こいつァ、大・大・大スキャンダルだなァ」
「……発信機によると、綾田さんの身柄は五十階付近まで移動中。ここに運び込まれたのが二分前だ。まだ『行為』には及んでいないだろう」
「貞操のピンチに颯爽と登場! ……ってか? いいねぇ、そういうベタなの嫌いじゃないぜ」

 銅色のバイクから飛び降りた首里はパキパキと指を鳴らし、黒いライダースジャケットを翻す。銀色のバイクから優雅に降りる真田も、同色のジャケットを羽織っていた。
 真田は手にしたタブレットに映された映像を、神妙な面持ちで凝視している。そこには、蛭浦グループ本社ビルの見取り図が表示されていた。
 ――その中で、幾つもの光点が動き回っている。

「やはりな。買収された『救済の龍勇者』の『G型』がビル内を巡回している。数は五十台」
「なんだよ、金に物言わせたって割りにはシケてんな。しょうがねぇ、一人につき二十五台とするか。警視庁からの恩賞は山分けだ」
「――いや、この光点に反応しているのは『今起動しているG型』だけだ。お前は三十台潰せ、俺は別に恩賞はいらん」
「あっそ。ま、オレは全員任されても構わないんだがな」

 早口で遣り取りを済ませ、二人は真正面からズカズカと本社に進み出る。ロビーに入る手前のところで、黒いスーツに身を包む屈強な男達が立ち塞がるのだが――二人にとっては想定内のこ
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