第2章 着鎧甲冑ドラッヘンブシドー
前編 学級委員と不良
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にもミニスカメイドの萌えがわかる」
「あ、あはは……考えとくね」
真剣な面持ちで拳を震わせ、ミニスカメイドを語ろうとする真田。その熱意を帯びた眼差しに当てられ、千歳は引き気味な表情で数歩後ずさった。
「……でも、首里君が来てから、この学校って凄く良くなったんだってさ」
「ほう? そうなのか」
「前はもっと不良達があちこちに陣取ってて、みんなが怖い思いをしてたんだけど……。首里君が不良達を締め上げて、全員に睨みを利かせるようになってから、随分ここも平和になったんだって」
「……そうか」
「だから首里君も不良といえば不良だけど、ヤンキー達を纏め上げてくれてるから女の子に人気あるんだってさ。小さいのに頼り甲斐ある〜ってね」
「は……!? あいつがか! いいのかそれで!」
「あはは……ま、恋愛は個人の自由だしね」
千歳の口から漏らされた新事実に驚愕し、真田はあり得ないものを見るような目で後ろを振り返る。その視線の先では、話の内容を知らない遠方の首里が、何事かと小首を傾げていた。
「……ふふ、なんか話してたら少しだけ元気出て来たよ。ありがとね、真田君」
「ん……まぁ、気休めになれたのなら光栄だ。今は苦しいかも知れんが、奴の目に余る行為はいずれ必ず暴かれる。遠からず、相応の裁きが下るはずだ」
「そうだね……私も、そう信じておくよ。いつか父さんを助けてくれる誰かが、現れるってね。じゃ、また!」
話をしているうちに気が紛れたのだろう。千歳は気を取り直すように顔を上げると、溌剌とした笑みを浮かべて校舎へと向かって行った。昼休みも、もうすぐ終わる。
「……自分より父さん、か」
真田は、そんな彼女のどこか力無い背に向けて――踵を返しながら、背中越しに小さな粒のようなものを投げ付けた。
それは彼女の制服に付着するが、本人は気づく気配もなくそのまま立ち去っていく。その様子を肩越しに見送ったところで、首里が近くまで駆け寄ってきた。
「――どうよ。学園のアイドルと、お喋りした感想は」
「思いの外、気をやられてるようだな。……蛭浦のことだ、強引な手段に出る時も遠くあるまい。『準備』はしておけ」
「あいよ」
首里は好戦的な笑みと共に、拳を鳴らす。そんな「相方」の姿を、真田は呆れた眼差しで一瞥していた。
「……それと。いい加減、ファッション誌の一つでも嗜んで身だしなみというものを覚えろ。勘違いしている女子がお前に幻滅して、貴重な青春を浪費してしまう前にな」
「……はァ?」
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