第2章 着鎧甲冑ドラッヘンブシドー
前編 学級委員と不良
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するように肩を落とした。
「……ある程度の状況は読めたな。蛭浦蛮童という男、噂以上に黒いらしい」
「あそこまで好き放題にしても誰も咎められねぇ。……それくらい、蛭浦グループの蛮行が長らく野放しにされてきた、ということかァ」
「蛭浦グループは久水財閥の傘下としては、かなり古参だからな。しかも、綾田商事の上役……。周りの企業も強くは出られなかったんだろう」
「あの様子じゃあ警察も買収済みだな。まさに金と権力、ってヤツか……イヤになるね」
そんな彼女の、少しやつれたような横顔。それを一瞥する真田は、物陰から歩み出た。
「だから、それ以上の権威を以て正すしかない、ということだ。――もう少し、詳しく話を聞いてくる」
「あ? おいおい仕事にかこつけてナンパかよ、抜け駆けたぁますますセコいなお前」
「お前の『役割』では不自然だろう。だから『不良』と『学級委員』に役割を分けたんだ、我慢しろ」
「へぇへぇ……」
口先を尖らせ悪態をつく首里を、呆れた口調で窘めつつ。真田は千歳に近づき、声を掛けた。
「大丈夫だったか? 何やら面倒な輩に絡まれていたらしいが」
「ありがと、私は平気よ。あれ……君、確か同じクラスの」
「真田だ。……綾田さん、あの優男と知り合いだったのか?」
学級委員として知られている相手だからか、千歳は特に警戒する様子もなく砕けた態度で真田と目を合わせる。この親しみやすさも人気の秘訣だろうか。
「知り合い、ね……ま、そんなとこかな。私のお父さんの上役の子でさ……前々から僕の女になれってしつこいの。で、断り続けてたら父さんの会社にまで圧力かけてきてさ……」
「……そうか」
「私は……あんな奴なんかに負けたくない。父さんを、汚いやり方で苦しめるような奴なんかに……でも、どうにかしようにも……」
「……」
努めて明るく振る舞おうとしていても、やはり限界があるのか。徐々に言葉の端から、気力が失われつつある。
途中から自分でそれに気づいたらしく、彼女は我に返るように顔を上げると無理に作り笑いを浮かべた。
「……それよりさ! 真田君って首里君といつも仲良いよね」
「は? 首里? ……あんな汚ならしいヤンキーと一緒にしないで貰えるか」
「え、でも噂になってるよ。顔突き合わせる度、『ずっきゅんはぁと☆ミニスカメイド』の話で盛り上がってるって。首里君に面と向かって話せる人なんて中々いないのに、あそこまで対等に話すなんて凄い! って友達も言ってたよ」
「その友達の誤解も早々に解いてくれ。というか、綾田さんもよくタイトルまで知ってるな。君もその道に詳しいのか?」
「えっ……う、ううん。話づてによくその名前が出てくるから……」
「そうか。気が向いたら観てみるといい。いや、是非とも観てほしい。君
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