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フルメタル・アクションヒーローズ
第2章 着鎧甲冑ドラッヘンブシドー
前編 学級委員と不良
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、小柄な少年は昼休みの時間帯に、窓が震えるほどの怒号を上げていた。

 小さな身体からは想像もつかない彼の雄叫びに、小屋に集まった荒くれ者達は一様に震え上がっていた。少年はボサボサの金髪をかきむしりながら、舌打ちを繰り返している。
 顔立ちそのものは中性的な美少年のそれだが、着崩し過ぎな政府姿や手入れがされていない金髪からは、不潔な不良というネガティブなイメージが付きまとう。

 だが、この学園で彼に逆らえる者は教師も含めて数えるほどしかいない。何しろ彼は、入学して僅か三日のうちに、学園中の不良を殴り倒して暴力の頂点に立ってしまった男なのだから。

 ――新一年生、首里犬の介(しゅりけんのすけ)十六歳。
 小さな身体に見合わない膂力で学園の不良を根刮ぎねじ伏せ、近隣にもその名が知られる札付きのワル。それが、彼についての一般的な情報だった。

「首里! さっきの騒ぎはなんだ!」
「……あァ〜? っせぇな真田(さなだ)、今はオメェの説教なんざ聞いてやれる気分じゃねーんだよ」

 その時。小屋の扉が勢いよく開かれ、整然と制服を着こなす黒髪の少年が現れた。
 短く切り揃えられた髪や、長身という特徴からは、首里とは何もかも対照的な印象を与えている。

 ――新一年生、真田則宗(さなだのりむね)十六歳。
 新入生ながら、風紀を重んじる学級委員として、クラスの信望を集める長身の美男子。その特徴一つ一つが、首里とは対になっているかのようだった。

 彼は鋭い眼差しを首里とぶつけ合い、睨み合いに突入している。互いに一歩も譲らない無言の攻防に、周囲は息を飲んでいた。
 首里のプレッシャーに屈しない男子など、三年生の雨季陸(あまきりく)を除けば彼くらいのものであるからだ。真田は首里が手にしていた焼きそばパンを見付けると、何かを察したように鼻を鳴らす。

「……ふん。そういうことか。愚かだな首里、自分の足で買いに行かないからだ。真に『ずっきゅんはぁと☆ミニスカメイド』を愛しているファンならば、自分で金を出して買うことだ」
「んだとォ……!」

 歯ぎしりする首里に見せびらかすように、真田は懐から焼きそばパンを取り出す。その包装は学食の簡素なものではなく、可愛らしいメイドのイラストが描かれた特殊なものだった。
 パンツが見えるギリギリまで短くされたスカートや、そこから覗く太ももが特徴的なイラストである。

「なっ……テメェ!」
「俺はすでに限定焼きそばパンを、今日だけでもこれを含めて六個入手している。これに付いている限定商品応募用のシールは、すでに二十枚を超えた……! どうだ、これだけストックがあれば『あやなちゃんマグカップ』も『ひかりちゃんストラップ』も『さやかちゃん抱き枕』も物量作戦で必ず手に入るぞ!」
「きたね
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