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フルメタル・アクションヒーローズ
第9話 暗雲を穿つ、赤き鎧
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ンス完了を告げる電子音声が再び鳴り響く。ついに出動体勢を整えた幸人は、武運を祈るように頷く恵を一瞥し、旧校舎に突入する。

 ……寸前。

「ひぃあぁああ! ママぁああ! パパぁああ!」
「……!?」
「な……! こ、こいつら生徒会の!?」

 「救済の遮炎龍」に扮する幸人を迎え撃つかのように、突入しようとした先から美夕達が飛び出してくる。咽び泣きながら、煤塗れになって転がり込んできた彼女達を、幸人は若干たじろぎながらも抱きとめた。
 恵は、見知った顔の彼女達が現場から飛び出してきたことに驚きつつも……すぐさま、その現象の理由に感づき、般若の形相となる。

「……てめぇら! イイ年こいて火遊びたぁいい度胸じゃねぇか! ボヤ騒ぎが起きても『救済の遮炎龍』が何とかしてくれますってか!? ざッけんなボケェ!」
「ひ、ひひぃい!」
「落ち着いて下さい玄蕃様、ここは私に任せて」
「だけど……!」
「……生徒会の方々ですね。警報を聞きつけて、こちらに参ったのですが、他に逃げ遅れた方は?」
「……!」

 怒り狂う恵を片手で制しながら、「救済の遮炎龍」は片膝を着き、うずくまる美夕に目線を合わせながら問い掛ける。
 赤い仮面のせいで表情が見えないことが、恐怖を煽ったせいか、彼女は酷く怯えた様子で、「救済の遮炎龍」を見ていた。

「わ、私じゃない。私のせいじゃない! あ、あの子が悪いのよ! 庶民のくせに、この女学院に来るから!」
「……!」

 そして、半狂乱になりながら自己弁護を始める。その発言の一端を聞き取った「救済の遮炎龍」はそこから、逃げ遅れた被災者が誰であるかを汲み取った。

「玄蕃様。暫し、彼女達をお願いします」
「あ、ああ!」

 刹那、「救済の遮炎龍」は。幸人は。

 はやる気持ちを懸命に抑えるような口調で、同じくショックを受けていた恵に美夕達を託すと超人的な走力で、旧校舎の中へと突撃していった。
 そんな彼の背中を、憂いを帯びた眼差しで見送る恵は、親友の窮地を知ってさらに怒り、怒髪天を衝く勢いで美夕達を睨み付けた。

「てめぇら……まさか、こんなことしといてタダで済むと思っちゃいねぇだろうな。植木鉢の件もてめぇらの仕業か!」
「ひ、ひゃあぁあ!」
「だ、誰かこいつの口を封じなさい! い、今ならまだ……!」
「む、無理よぉ!」
「ああもう! どいつもこいつも使えないっ!」

 だが、美夕はまだ諦めていないのか。旧校舎の破片の中から棒状の木材を拾い、恵の前で身構える。

 そんな彼女をゴミを見るような目で冷ややかに見つめ、恵も空手の構えを取った。

「……つくづく。救いようのねぇ奴らだ」
「うるさい。うるさいうるさいうるさいっ! みんなあんた達が悪いのよ! あんた達のせいよ
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