第6話 悩める空手少女・玄蕃恵
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には、幸人は「救済の遮炎龍」のテスト要員の任期を満了し、事実上ヒーローから引退する。そのスーツは、次世代スーツを開発するための素体として解体される予定だ。
つまり、あと一週間後には才羽幸人が扮する「救済の遮炎龍」は、この世から消え去ることになる。真里の護衛も、他のヒーローが受け持つようだ。
彼は元々、真里の護衛のために雇われた身。ヒーローでなくなれば、わざわざ女学院に留まる理由もない。……なら、もう会うこともなくなる。
恵は昨日、幸人が任期を満了した後の身の振り方を尋ねなかった。否、出来なかった。
幸人の笑顔にやられ、頭からそのことを吹き飛ばされたのも理由の一つだが……やはり、聞くのが怖かったのだ。
彼を明確に意識する前から、尋ねるタイミングはいくらでもあった。だが結局、恵はその問いを先延ばしにして、何もわからないまま今日を迎えている。
無意識のうちに、彼にここにいて欲しい、という願望を抱いていたのかも知れない。知らず知らずのうちに、そのことを避けていたのだとすれば……。
(……いつから、なんだろうな。いや、いつからなんて、どうだっていい。肝心なのは、あいつが任期を終えたらどうなるか、だ。……礼を言うついでに、そこもハッキリ聞いておかねーと)
そこで一度思考を断ち切ろうと、頭を振る。その視線は、前の席で授業に集中する幼馴染に向かっていた。
(もし、いなくなっちまうのなら……真里は、悲しむだろうな)
せめて任期を満了するまでに、真里を狙った悪人には捕まって欲しい。それが無理でもせめてこの一週間は、何事もなく終わって欲しい。
それが、恵が願える精一杯だった。
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