第2話 特別優秀生・佐々波真里
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のくせにこの女学院に通うことが許せない」という者達だけでは収まらず。特別成績優秀枠を狙えた才女でありながら、「自分達を差し押いて特別成績優秀枠という頂点を庶民に取られた」という者達からも疎まれる結果となっていた。
「なによあの小娘、涼しい顔なんかして……! ちょっと栄えある先輩としてお灸を据えてっ……」
「何をしていらっしゃるの? あなた方」
「……っ!? 琴海様!?」
そんな彼女達の一人が、真里に物申すべく一歩踏み出した時。澄んだ声が彼女達に響き渡り上級生達の視線が、その声の主に集まった。
その人物、文村琴海は、日本人離れした亜麻色の長髪を靡かせ、豊満な胸に乗る金色のペンダントを揺らし、自身の取り巻きの一人である二年生を睨む。三年生の生徒会長という絶対の存在に見つめられ、二年生は緊張のあまり膝を震わせた。
「感心しませんわね。名家の淑女ともあろう者が、嫉妬を露わに陰口など」
「しかし……! あのような下賤な庶民がこの女学院を闊歩するなど、私達には耐え難い苦痛で……!」
「耐え難いのなら簡単なこと。この女学院を去ればよいのです。あなた方が真に彼女に勝る存在であるならば、学校側が引き留めるかも知れませんが」
「……っ!」
白い氷原を彷彿させる白い肌と、豊満に飛び出した胸や臀部を持ち、切れ目の艶やかな瞳を煌めかせる、氷雪の女神を彷彿させる妖艶な美女。
そんな絶対的な美貌の前に、二年生である吾野美夕は反論すら許されないほどに圧倒され、同時に、魅了されてしまった。
「……失礼しました」
「よろしい。素直なあなたが、わたくしは好きですわ」
そんな彼女を見つめる琴海の眼差しが、ふっと柔らかくなる。その変化に翻弄されながら、美夕は情熱的な瞳で琴海の美貌を見遣った。
美夕の琴海に対する敬意は崇拝の域にも達しており、彼女が微笑を浮かべるだけで、美夕は一瞬ながら真里への敵意すら忘れかけてしまう。
「では、わたくしも生徒会長として一言挨拶に伺おうかしら」
「なっ……!」
だが、次に飛び出した琴海の発言で我に帰されてしまった。目の前の状況を脳が把握し「琴海様があのような下々に」といきり立つより早く、彼女は悠然とした足取りで真里の方へと歩んで行ってしまう。
暫し呆然と、その後ろ姿を見送っていた彼女は、やがて煮え滾る憎しみの視線を、何も知らない真里に叩きつけた。
「あいつが、あいつがッ……!」
◇
「しっかし、やっぱウチに来たんだなぁ真里。いや、お前が落ちるだなんて思っちゃいなかったんだけどさ。まさか特別成績優秀枠なんてモンに食い込むたぁな」
「えへへ、ありがとう。でも、恵がいてくれてよかった……。誰も知
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