異聞 着鎧甲冑ドラッヘンインパルサー
第1話 消防士の死と、少女の決意
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は……)
全てを喪った少年も、また。葬儀を終え、去り行く少女を見つめていた。
「幸人君。少し、いいかな」
「……はい」
ふと、少年の前に壮年の男性が現れる。黒スーツの上からもわかる、筋肉質な体躯の持ち主である彼を、少年はよく知っていた。父の親友である科学者、才羽誠之助である。
父は生前から、彼が開発する強化服――新型着鎧甲冑のテストに協力していた。完成すれば、より多くの人命を救えるようになる、と。
そんな彼が、真摯な眼差しで自分を見下ろしている。彼の目を見つめる少年はすでに。彼の用件を、概ね察していた。
「……ねえ、パパ。ママ」
「どうしたんだ、真里」
その頃。葬儀場を去り、帰路についていた真里は。車の後部座席から喪服の消防士達を見つめながら、呟く。
運転していた父は娘を労わるように、優しく声を掛けた。この一件で傷心した愛娘への、気遣いが感じられる。
そんな父に。少女は一拍置いて、己が使命を語った。
「わたしね……お医者さまに、なる。お医者さまになって……どんなケガをした人も、みんな治してあげるの。誰も……誰も泣かないように」
「真里ちゃん……」
「……わかった。思うままに、やってみなさい」
「……うん」
幼くも力強く、そう宣言する娘に助手席の母が心配げに見つめる。だが父は、強い目標を抱いた娘の背中を押すことに決め、娘の決断を支持するのだった。
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