第34話 蛮勇の群れ
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――だが。
結花の前に差し出されたのは、花や指輪ではなく。
「実は宿題全然終わんなくてさァ! 手伝ってくれよ結花センセ!」
「……は」
真っ白な。それはもう、彼のオツムのように真っ白な――夏休みの宿題。汚れ一つないそのノートは、彼が今日に至るまで、いかに全力で宿題をサボっていたかが見て取れる。
「いやー、結友姉に手伝ってくれって頼んだら『宿題は自分でやるものです』って叱られてよ。結衣姉はバカだからアテにならねぇし。つーわけで! ここは一つ、結花センセの――結花、センセ……?」
無論、そんな彼の頼みの綱は結花なわけだが――彼女は拳をぷるぷると震わせ、幼馴染を睨み上げていた。
――そして。
「そんな理由でこっちに来たのーっ!? もー絶対許さないっ! 宿題なんて手伝ってあげないーっ!」
「ウワー! 結花センセが怒ったのだー!」
ジタバタと拳を振り回し、ぷりぷりと怒り出すのだった。そんな彼女に追い回されながら、笑い転げる陸。
龍太達はそんな凹凸カップルの痴話喧嘩を前に、ひたすら笑い続けるのだった……。
――四人四色。夏空に吹き抜ける恋の風が、それぞれの巡り合わせを見つめていた。
この出逢いが幸か不幸かは――当人達にしかわからないだろう。
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