暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第30話 ストライカーシステム
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 ――翌日。

 日曜日の朝から、陸は東京郊外の平野に訪れていた。都会の景色が一望できる広大な平地に立った彼は、青空の向こうに見えるビル群を一瞥する。
 そんな彼の隣には――昨日知り合ったばかりの青年、伊葉和士の姿があった。サングラスこそ外したままだが、黒スーツ姿の怪しさ全開の外見に、陸は眉を顰める。

「伊葉さんよぉ……暑くないの? いやもう、見てるこっちが暑いんだけど」
「なら後ろに立っててやる。お前は前だけ見ていろ」
「そういう問題かなァ……」

 にべもなく返された陸は、溜息混じりに自分の左脚を見遣る。彼が履いている黒のGパンの下には――忠道製とは異なる、トリコロールカラーの筋電義足が装着されていた。
 それも、超人的な脚力を持ち、生身の足と見紛うほどの精密な動作を可能にした特別製の。

「なんでこうなっちまったんだかなァ」
「その訳なら昨日説明したはずだ」
「いやまぁ、そうだけどさ。ハハ……参ったねえ。まさかオレが――新型ヒーロースーツのテスト装着者だなんてなァ」

 苦笑いを浮かべる陸の手首には――黄色に塗装された「腕輪型着鎧装置」が取り付けられていた。

 ――昨日の夜。
 伊葉和士に連れられた陸は、彼の自宅である都内の研究室に招かれ――義足を交換させられた。
 新型着鎧甲冑に用いられる、義足型デバイス――「超駆龍の剛脚(ストライカーレッグ)」に。

 高機動に特化した最新型レスキュースーツ「ストライカーシステム」の開発者である伊葉和士は、そのテストを陸に依頼するために彼を連れ込んでいた。
 さらにそのストライカーシステムのメインパーツである「超駆龍の剛脚」は、陸の身体に完璧にフィットしていた。――和士は陸に合わせてデバイスを作るため、主治医の忠道から彼のカルテを入手していたのだ。

 忠道は、世界的に名が知られているエリートヒーローである伊葉和士が、陸をテストヒーローにスカウトしようとしていることを知っていたのである。

 当初こそ「いきなり義足を取り替えろだなんて何事だ」と反発していた陸だったが、信頼している忠道のお墨付きだとわかると渋々ながらも和士の話に乗るようになっていた。和士としては、その単純さに親友を重ねて溜息をついてしまったわけだが。

「ま、忠道さんが大丈夫って言ってんなら大丈夫かな。何とかなるだろ多分」
(昨日から思ってたが、こいつ凪以上にチョロいな。自分で選んでおいて難だが、大丈夫かこいつ……)

 斯くして陸は「超駆龍の剛脚」を装着し、ストライカーシステムに携わるテストヒーローとなったのである。
 彼は横目でチラチラと和士を見遣りながら、昨日の遣り取りを思い返していた。

『……まぁ、だいたいの経緯はわかったよ。要はめちゃくちゃ速い着鎧甲冑をめちゃくち
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