第27話 隼は、巣に還る
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「……」
アナウンサーの言葉に、少年は目を細めた。
――伊葉和士が完成させた新機軸レスキューシステム「フェザーシステム」の存在は世界中に喧伝され、自在に飛行し三次元空間での活動を可能にした新型着鎧甲冑の登場は人々に衝撃を与えた。
フェザーシステムの発注が世界中から集まった上、伊葉和士の名声もさらに飛躍的な高まりを見せるようになっている。――その影に散った実験小隊の存在は、「そんなものもあった」という程度にしか知られずに。
ゆえに伊葉和士の乗機である六十二号「至高の超飛龍」を除く全ての実験機には、最後まで名前が付けられないままとなっていた。彼の唯一の部下だった隊員が搭乗していた二十一号も、例外ではない。
『はい。……だからぁ、私が付けることにしたんですっ!』
『へっ?』
「……!」
それゆえか。そろそろ行こう、とビジョンから目を離した少年が、彼女の言葉に足を止める。そして、食い入るようにフェアリー・ユイユイの笑顔を見つめるのだった。
『名付けて私だけのレスキューヒーロー……「救済の超飛龍」! どうです? カッコイイでしょ!』
『え、えーと……あんまり捻りがないような、そのまんまなような……』
『カッコイイでしょっ!』
『そ、そうですね……カッコイイです、はい……』
目をキラキラと輝かせ、全身からハートマークのオーラを全方位発射しているユイユイのハイテンションに、アナウンサーは完全に飲まれている。さらに、そんな光景を目の当たりにした民衆の中から、「俺のユイユイがぁああ!」という阿鼻叫喚の嵐が巻き起こった。
(……「救済の超飛龍」、か……)
光り輝くトップアイドルが与えたその名は、歴史の闇に消えゆく機械人形には、あまりにも煌びやかな響きだ。だが、少年はそれを否定しない。ただ静かに、人知れず受け取るのみ。
――自分自身にだけ誇れる、自分だけの「名誉」として。
『とゆーわけでぇ! これからも皆のアイドル「フェアリー・ユイユイ」をよろしくねっ! あ、あと「救済の超飛龍」様の情報が見つかったら、迅速に報告してね! じゃ、またね〜』
『え、ええと……それではフェアリー・ユイユイさん、ありがとうございました。これからもトップアイドルのますますの活躍に、期待が高まりますね。以上、中継の玄蕃でした……』
『げ、玄蕃さん、ありがとうございました。……オホン、では気を取り直して次のニュースです。来年に初運行を予定している「リニアストリーム」が本日――』
「……ありがとう」
そして届くはずのない礼を言葉にして、少年は踵を返す。アイドルを寝取られたと騒ぎ立てるギャラリーを背にして。
――そして。
人だかりを離れた先に広がる、高級住宅街。この
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