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フルメタル・アクションヒーローズ
第23話 橘花麗の戦い
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。右往左往するばかりでまとまりのなかったスタッフ一同が、ようやく動き始めた。
 ――この豪胆な振る舞いと決断力ゆえか、麗は自身が通う女学院で生徒達から「お姉様」と崇拝されているのだが……それはまた、別の話である。

「ロープは岩でちゃんと固定して。急がないと事態は悪化する一方よ!」
「わ!? お嬢さん何を……!」
「人命が懸ってるこの事態で、なにを躊躇ってるの、さっさと動く! 私をジロジロ見てるだけなら猥褻容疑でブタ箱に送るわよ!」
「す、すみませんでしたァァァ!」

 スタッフからロープを受け取った麗は着ていた服を乱暴に脱ぎ捨て、純白の下着姿になる。生来の雪のような肌色とあいまって、彼女の姿は裸身と見紛う光景になっていた。
 だが彼女は恥じらう暇も惜しむように、手早くロープを自身に巻き付ける。そして絶え間ない雨粒を頬から顎へ、顎から鎖骨へ、鎖骨から豊かな胸の先端へと滴らせながら――厳かな足取りで濁流の中へと突き進んで行った。

「く……!」

 だが、いかに優れた身体能力があるとはいえ、所詮は生身の女。自然の圧力の前には、足を一歩踏み出すことすらままならない。

「負けられない……! 負けて、なるものですかッ!」
「……!」

 だが、その大自然の猛威にすらも、麗は不屈の眼光を叩きつける。折れることを知らず、ただ愚直なまでに濁流を突き進むその姿に、絶望の淵に立たされていた少女の眼に、微かな光が灯る。
 ――しかし、もう少女は限界だった。岩にしがみつく両腕は、力尽きるように岩肌から剥がれ落ちて行く。

「諦めてんじゃ――ないッ!」
「あっ……!」
「死なせたりなんか、しない! だからあなたも――諦めないでッ!」

 だが、そのまま力無く流されて行くよりも早く。岩にたどり着いた麗が、流されかけた彼女の身を自らの豊満な胸に抱き、自分の腕力で岩にしがみついて見せた。双方の色白な巨乳が互いの胸を圧迫し、二人の美少女が隙間なく密着する。

 ――間一髪、麗は自分自身を壁にして少女が流される事態を防いだのだった。

「おぉ……凄い! やった! やったぞあの子!」
「あとはレスキューを待つだけだ! 助けはまだ来ないのか!?」

 その光景を目の当たりにして、戦々恐々となっていたスタッフの面々が歓声を上げる。しかし確かに最悪の展開だけは凌いだが――まだ、状況は芳しくない。

「くっ……!」

 両手両足を駆使して、なんとか流される事態は防いでいるが――この体制を長く持たせることはできない。いつ来るかもわからない助けに望みを託し、麗は持てる力を尽くして岩肌にしがみつく。

(和士……! お願い、早く……!)

 ◇

 ――その頃。
 現場から僅かに離れた秘密飛行場から――二機の小型ジェット
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