第21話 フェアリー・ユイユイの苦悩
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れるような、甘えられるようなタイプに落とされちゃったんだろうな……)
いつも長女としての余裕ある振る舞いを見せている姉が、時折浮かべる恍惚の表情。それは、姉を落とせるような男などそうそういないと思い続けてきた結衣には衝撃的な光景だった。
姉の心を奪った、その広い背中の温もりとは――どんなものだったのだろう。もしも、そんなもので満たされたら……自分は、どうなってしまうのだろう。
その感情は恐れでもあり、期待でもあった。だが、その姉が知った「温もり」と今の自分がいる世界の間には、凄まじい隔たりがある。
姉を落とした未知の感覚に想いを馳せるほどに、結衣の心はもどかしさに苛まれて行った。
(……あたし、やっぱりワガママだね。……それでもやっぱり……欲しいなぁ、出会い)
姉や妹が知っていて、自分だけが知らず――自分こそが誰よりも追い求めていた「心を焦がすほどの恋」。雲を掴むような想いを抱える彼女は、膝を抱えている自分の姿を、水面の鏡で見つめていた。
(――誰か、あたしの心を落としてよ……)
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