第19話 改造電池人間の闇
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なく、彼ら兄妹の両親も。
――だが、当の雲無が彼らを避けている以上、彼は家族には会うつもりがないということになる。何よりそれが、和士には理解出来ないことであった。
(だいたい、家族に会えない理由ってなんだ! 胸の肉まで抉れる重傷から、やっと生き延びたってのに! ……ん? 胸の肉……!?)
ふと、和士の脳裏に先ほど見かけた雲無の姿が過ぎる。あの時、彼の露出した胸には――大きな傷痕があった。さらに、そこからは怪しげな電光まで出ていた。
「もしかして……あいつが家族に……麗に会えない理由って、あの胸の傷痕と関係あるのか!?」
「あら? 橘花家と親交がある、というお話は本当だったのですね。えぇ、関係あるというよりは……理由そのもの、といったところでしょうか」
「理由、そのもの……?」
夏の暑さだけではない発汗により、すでに和士は汗だくになっていた。そんな彼を見上げる西条は、静かに眼鏡を外すと――神妙な面持ちで口を開く。
「――あなたが容易く口外することのない方である、と見込んだ上でお話ししましょう。彼が、ここへ流れ着いたいきさつを」
「……」
――雲無が、涼風が吹き抜ける自然の園に囲まれた石碑に、静かに手を合わせている頃。
西条は、和士に全てを語っていた。
「まず、彼は――生身の人間ではないのです。心臓部に『動力強化装置』を内蔵して生き永らえている、『改造電池人間』なのです」
「……!?」
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