暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第15話 天坂三姉妹の悩み
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
『アカデミーから誕生した世紀のヒーロー、伊葉和士。彼がいなければ、今頃は尊い多くの人命が失われていたことでしょう。彼こそ、真の英雄です。今回は彼というヒーローを輩出した学び舎、ヒルフェン・アカデミーで取材したいと思います! 玄蕃(げんば)さん?』
『はい、こちら中継の玄蕃です! 今日は彼の活躍について大接近したいと思いますっ! まずはヒルフェン・アカデミーでの訓練風景から――』

 都内有数の高層マンション。東京の大都会を一望できる、その最上階に住まう一人の少女が――ジュースを片手に無防備な薄着姿で、大画面のテレビを観ていた。
 有名なキャスターやタレントが声を揃えて賞賛するヒーロー、伊葉和士。その背景を追う取材番組が放送されていたのだが――日本中が注目しているはずのその番組を観ている少女は、どこか腑に落ちない表情を浮かべている。

「……違うなぁ」

 芸術的なまでに整われた目鼻立ちに、透き通るような柔肌。艶やかな黒髪のショートボブに、見るものを虜にするであろう桜色の唇。
 そして――小柄な身長に反して、豊満に飛び出した双丘。その巨峰をたわわに揺らしながら、彼女はジュースを飲み干し、もう一杯注ごうと腰掛けていたソファから立ち上がる。

 すると――このリビングに繋がるドアを開くもう一人の美少女が現れ、テレビに視線を送った。そして、つまらなさそうに鼻を鳴らしている巨乳の持ち主に目線を移す。

「あれ? 結衣(ゆい)お姉ちゃん、この番組楽しみにしてたんじゃ……」
「ダメダメ。まぁた伊葉和士さんの特集ばっかり。アカデミーの様子も何度か映ってるけど、結友姉のお目当ての人が出てきそうにはないわ」
「海原凪さん、だよね。伊葉和士さんと入学式の日から一緒に居たんなら、ちょっとくらいテレビに出てきても良さそうなのに……」
「そう、それよそれ。結友姉を体張って助けてくれるくらいの人なのに、それらしい人なんてちっとも映らない。伊葉さんの人気にあやかろうとしてるハイエナ染みた奴らは、散々友達ヅラしてインタビューに答えてるってのに。……まるで、海原さんだけ意図的にハブられてるみたい」
「そ、それは……」

 苛立ちを募らせた表情でジュースのお代わりを注ぐ、結衣という少女は――その可憐な容姿に似合わない鋭い眼差しで、テレビ画面を射抜いていた。
 そんな彼女の殺気に当てられた、慎ましい胸の妹は「それは考え過ぎなんじゃ」と言おうとしていたのだが――その言葉が実際に全て声として出ることはなかった。

 ない、とは言い切れなかったからだ。テレビ業界を深く知り、インタビューに出ている人間の魂胆など容易く見透かしてしまう姉が、そう言っているのなら。

 ボブカットの黒髪と、人形のような白い肌を持つ、その平らな胸の妹は――己の絶壁に掌を当て、姉
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ