第13話 願いは一つ、蒼い海
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やるぜ』
「……!?」
その時。聞きなれない声を通信で拾い、和士は涙を拭うことも忘れて顔を上げる。そんな彼の前に――月光を背に浴びる、もう一人の青きヒーローが現れた。
自分が今乗っているものと同じ形状を持つ、二つ目の「超水龍の方舟」に乗るその人物は――傷だらけの「同胞」の肩を抱き、ぶっきらぼうな声を上げている。
男のような喋り方ではあるが――その声色は紛れもなく、女性のものだった。
『……ふふ。けど確かに久水会長の仰る通り、あのお方によく似ておられますね? フラヴィ』
『悪いとこまで似てちゃ、こっちはたまったもんじゃねぇよジュリア。アメリカ側からこっちが探しに来てなけりゃ、この坊主は今頃――』
ダイバーシステム試作一号機のテストパイロット「フラヴィ・デュボワ」と「ジュリア・メイ・ビリンガム」。
目の前に現れたもう一人の「救済の超水龍」と「超水龍の方舟」の実態を、彼の脳が理解した時。
彼女達の肩に抱かれている、ボロボロの「救助の超水龍」は――破片を零しながら、ぐったりしていた首を、「親友」に向けた。
「――ただいま、和士くん」
「――!」
刹那。
仮面に隠れてもわかる、「親友」の笑顔を感じて――独りになったと疑わなかった少年は。涙を拭うことも忘れ、声にならない歓喜を叫び。
方舟から方舟へと飛び移り――その胸へと、飛び込んで行くのだった。
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