第11話 本当の名誉
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……だって、そげなことであの飛行機さ見捨てたら――おら、みんなのとこへ胸さ張って行けねぇだよ」
「海原……」
「助けることが罪なら、おらが背負うだ。おらが和士くんを脅して、出動させたことにするべ。和士くんは――どうしたい?」
その眼差しは、今まで和士が見てきたものとは全くの別物だった。何も考えていないような能天気な色など、どこにもない。
心根に眠る真意を問う、何もかも見透かしているような瞳。その佇まいを前に、和士は嘘は言えないと悟り。
「俺、は……俺は!」
「うん」
「助けたい……たずげだいッ! たずげに――いぎだいッ! 俺も、いぎだいんだ、海原ァッ!」
「うん……うん」
――本当の自分を、吐き出し、垂れ流していく。プライドも何もかも剥がされ、本能に等しい真心を、丸裸にして。
そんな彼の言葉に、優しく相槌をうつ凪は――少しずつ頬を緩め。涙も鼻水もそのままに、目を伏せる和士の頭を抱き寄せた。
「……聞きたかっただよ、その言葉」
「だげど、だげどっ……ぞれじゃ、お前がっ……!」
「さっきも言ったべ。おらの名誉は、おらに誇れるもんで十分だ。……それに。和士くんの名誉を、このまま汚させるわけにはいかねぇだよ」
そして――自分の胸ですすり泣く親友の頭を抱いたまま。凪は神妙な面持ちで、「超水龍の方舟」を格納している地下ドックに目を向ける。
体育館の下に隠された、その「切り札」を目指して。彼らは人知れず――行動を開始した。
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