第8話 正義の鉄槌?
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うに笑い、麗は表情を驚愕の色に染めた。
「ほっほぉ! 面白れぇ! この状況で、俺達と一戦交えようってか!」
「さっすが次席様! いつも俺達には真似出来ねぇことやってくれるね! やりたくもねぇけどな!」
「な、にを……! に、逃げて……!」
震えながら、それでも声を絞り出す麗。そんな彼女を遮るように、下品な笑い声を上げるならず者達。彼らを射抜く和士の眼差しは――猛々しさをその奥に宿している。決して譲れぬという、決意の炎を。
「――悪意から人を守れないで、何がヒーロー。君は、そう言ったな」
「……!」
「その通りだと思う。R型よりG型の方が、荒事に向いているのは事実だ。――だがな」
その姿勢のまま、一歩踏み出る和士。彼の気勢に触れてか――圧倒的な優位に立っていながら、男達は僅かにたじろいでしまった。
「武器の一つも持たないR型にだって――この拳がある。着鎧甲冑が持っている力は、武器の有無で危険か否かが分かれるような、生半可なものじゃない」
「……」
「――だからこそ。それをこんなことに使うこいつらを、許すわけにはいかないんだ!」
さらに踏み出し、仇敵の目前に進み行く和士。その気勢に飲まれまいと、ならず者達は声を張り上げる。――だが、その言葉は和士をさらに焚き付けるものだった。
「ナ、ナメんじゃねーぞ! あんなカッペ野郎に遅れをとったエセエリートが!」
「あんなヤツに首席譲ってる時点で、てめーの威厳なんて高が知れてんだよ!」
それが誰を侮辱している言葉なのか――と、和士が思考を一瞬だけ巡らせた瞬間。彼の脳裏を通う脳細胞がプチンと切れ、その眼差しにさらなる「殺気」が宿る。
自分達が言ってはならないことを言った――と気づかない彼らは、その身が凍るような威圧感に触れて、無意識のうちに引き下がってしまった。
「――口に気をつけろ。あいつをバカにしていいのは、この世界で俺一人だ……!」
「ひ、ひっ……!?」
「バカヤロウ、ビビッてんじゃねぇ! どんなに粋がろうとあいつは生身! 着鎧甲冑を装備した俺達の敵じゃねぇ!」
「嘗めるなよ。前へ踏み出すこの一歩に、強いも弱いもない。勇気があるかないか、それだけだ!」
「……!」
気圧されるあまり、物理的に有利な立場であるはずの間山が引き下がる。倉知はそんな彼を怒鳴りつけると、拳を鳴らしながら和士ににじり寄って行く。
彼の言う通り、如何に気迫で勝っていようと、現実の腕力では向こうが明らかに上。自分に迫ってくる着鎧甲冑と対面し、和士は改めてそれを実感し、頬に冷や汗を伝わせる。
だが、それでも。彼は恐れを顔に出すことなく、毅然と向き合って見せた。
「試してみるか? ――落ちこぼれ共ぉぉおぉおッ!」
「や、やめてぇえぇえッ!
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