第6話 思わぬ出会い
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めているのだ。
ゆえに、世界中の警察組織がG型の生産優先を求める声が絶えないのである。そして現在の警視総監は、G型優先派として有名な人物であった。
この娘はそれに準じた交渉を、R型の学科しか用意していないアカデミーで行おうとしているのだ。より多く生産されているR型の供給に、対応するための施設だというのに。
「……いっそ学科ごと全取っ替えしてもいいくらいなのに。G型の能力こそ、着鎧甲冑のあるべき姿なんだから」
「おい、訂正しろ! R型がどれほど人命救助に貢献しているのか、知らないのか!」
「知ってるわよ。……でも、G型の生産台数が少ないせいで、犯罪率が落ちない地域だってあるのよ。人為的な危険を排除できていない時点で、人命救助も何もないじゃない」
「だが……!」
「――それに、どうせ……今から大勢助けたところで、お兄ちゃんは帰ってこないんだから……」
その時。少女が不意に漏らした言葉に、和士は眉を顰める。
「……?」
「あっ……と、とにかく! 私はR型専門のアカデミーなんて認めない。悪意から人を守れないで、何がヒーローよ!」
自分が漏らした言葉に気づいたのか、彼女は慌てた様子で踵を返し、走り去って行く。その背を暫し呆然と見つめていた和士は、彼女が残した言葉を静かに思い返すのだった。
(お兄ちゃんは、帰ってこない……?)
――そんな自分の背を、Eクラスの不良達が憎々しく睨んでいることにも気付かずに。
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