第6話 思わぬ出会い
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自分で守れ――とは言わないが、自分に危険が降りかかる可能性くらいは自力で悟って欲しいもんだ)
そんな少女の蛮勇を見兼ねて。和士は威圧的な表情で進み出ると、少女を庇うように立つ。ギャラリーのどよめきを背景に現れた次席を前に、Eクラスの面々が目の色を変えた。
「げっ……! こいつ、次席の……!」
「――お前達。この跳ねっ返りに何を言われたか知らないが、問題を起こすつもりなら俺が相手になるぞ」
和士はヒーローの専門校である、このアカデミーへの入学に備え――空手の技を身につけていた。決して達人の域に至るようなものではなく、あくまで護身術として習得したものではあるが――その成果は、こうして荒事に直面する度に発揮されている。
Eクラスの不良達のほとんどは、既にその犠牲者にされた経験があり――彼らの誰もが、喧嘩で和士には勝てないと認識していた。
その和士にそう宣言されてしまっては、もはや彼らの選択肢は一つしかない。
「お、覚えてやがれ!」
月並みな台詞と共に、逃げ去ることである。そのヒーローからは程遠い背を見送る和士は、深いため息と共に少女の方へと向き直る。
「全く……。なぁ、君。少しは自分の身を守ることも考えて発言したら――」
「――あなた。理事長室はどこ?」
だが。発言を終える前に、彼の言葉は少女によって遮られてしまった。少女の今後を案じての発言を、当の少女に邪魔されたことで、自然と眉がつり上がる。
「あ、あのなぁ。普通こうやって助けられたら、一言礼を言っとくのが礼儀なんじゃないのか」
「あなた達は、人命救助が仕事なのでしょう。やって当たり前のことで――そのために働いてることで、なんで私がわざわざ礼なんてする必要があるのかしら」
「な、なにぃ……」
助けられた礼を言わないばかりか、それが当たり前だと言ってのける彼女に、和士のこめかみから血管が浮き上がる。だが、彼の怒気を前にしても、少女はじとっとした眼差しを崩さない。
「悪いけど、私は暇じゃないのよ。今日ここに来たのは、視察のためなんかじゃない。G型の学科を早急に用意してもらうためなんだから」
「G型の学科、だと?」
――着鎧甲冑の量産機である「救済の龍勇者」には、R型とG型という、二つのバリエーションが存在する。
着鎧甲冑の本分である、レスキュー活動に特化した装備を持つR型。電磁警棒とスタンガン以外の装備品を排除して機動性を高め、治安維持能力に特化させたG型。この二つは、それぞれ世界中のレスキュー隊や警察で制式採用され、その性能を発揮している。
だが、その二つは均等に生産されているわけではない。「救済の龍勇者」の生産ラインの多くは、着鎧甲冑の本領であるR型が占
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