第6話 思わぬ出会い
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、外部の人間にヒーロー候補生として高慢に振る舞う者が多い。そんな彼らの素行不良はアカデミーの沽券に関わる課題として、Aクラスでも話題になっていた。
(このアカデミーの生徒である、という一点のみにしか誇れるものがない、愚か者達には困ったものだ。あいつらのせいで、俺や凪の評価まで下がりかねないんだから堪ったもんじゃない)
ため息混じりに階段を降り、和士は現場を目指して足を運ぶ。本来なら関わり合いになりたくない――というところだが、同期である以上、無関係にはどうしてもなれない。
こうして、次席の立場にものを言わせてEクラスに苦言を呈するのも、もう何回目になるか。数え切れないトラブルの量に、彼は歩みを進めながら頭を抱えていた。
自分の姿を見るなり、おずおずと道を開けるギャラリー。その間を突き進む彼の眼前に、やがて見目麗しい美少女の姿が現れる。
「恥ずかしいとは思わないのかしら! 仮にもヒーローとして、このアカデミーに入学していながら!」
「あんだとォ!?」
「中坊のくせして、イキってんじゃねぇ!」
茶色のセミロングを、東京湾から流れる潮風に靡かせる、色白の肌を持つ彼女は――豊かな胸を揺らし、黒い瞳でEクラスの不良達を射抜いていた。
その歯に衣着せぬ物言いに、不良達は憤怒の形相で反発している。
見たところ、少女はアカデミーの生徒ではない。高級感溢れる彼女のブレザーは、都内有数の令嬢が集う女学院のものだ。
本来ならばこことは無縁であるはずの彼女が、Eクラスと揉め事を起こしている。その光景から導き出される彼女の正体は、一つだ。
(噂になっていた、例の警視総監の娘――か。話に聞く以上に、強気な女だな)
凛としたその姿は、過酷な訓練に耐え抜いてきたアカデミーの生徒を前にしても、全く揺るがない。その美貌もあいまって、彼女の周りには見惚れている生徒達が何人もいた。
「いいのかよ、俺達にそんな口利いてよぉ! 俺達は、お前ら民間人を守るレスキューヒーローになるんだぜ? その時には助けてくださいって裸になって土下座しなきゃ、お前の命はねぇんだぞ!」
「見苦しいわね、何の実績もない癖に。あなた達Eクラスは、卒業しても向こう三年間は教育期間を設けられるらしいじゃない。あなた達の言う『その時』は、いつになったら来るのかしら!」
「なっ……んだぁとォ!?」
――とはいえ、挑発されているEクラスの者達に、その魅力は効果を成していないようだ。豊かな胸や臀部に好色な視線こそ向けているものの、少女の話を聞き入れる気配は全くない。むしろ今にも、欲求に任せて少女に飛びかからんとしている。
だが、少女はそれでも引き下がる気配を見せない。このままでは自分に危害が及ぶにもかかわらず。
(……やれやれ。自分の身は
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ