第5話 ダイバーシステムの胎動
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口を開いた。
「――やはり、ワガハイが見込んだ通りであったな」
「え……?」
彼の発言に首を傾げる和士と、凪の前に――二つの書類が差し出された。理事長の様子を伺いながら、それを受け取った二人は――各々の手に託された資料の内容に、目を見張る。
そこには、流線型を描く小型潜水艇「超水龍の方舟」と、その機体に搭載される潜水用強化外骨格「救済の超水龍」の見取り図が描かれていた。
アメリカ本社においても、日本支社においても、一握りの上層部しか持ち得ない機密。その全てが、彼らの手にある資料に記されている。
「『救済の超水龍』……」
「『超水龍の方舟』……!」
二人はそれぞれの資料に目を奪われ、自分達に渡された「機密」の名を静かに呟く。和士に至っては、無意識のうちに手まで震えていた。
「この資料を読めば、おおよその事情は察して貰えると思っている。――優秀な君達二人には、これよりダイバーシステムのデータ収集に協力してもらう」
有無を言わせぬ、力強い古強者の宣言。その気勢に飲まれたように、和士は言葉を失うのだった。
(これが……このシステムの構造が、俺も呼ばれた理由だったのか! テ、テストパイロットとはいえ、お、俺が……ついに、ヒーローに……!?)
(んー、参っただなぁ。こりゃあ、責任重大だべ……。ま、やるしかねぇべ!)
――だが。その一方で凪は、眉を吊り上げ不遜な笑みを浮かべている。望むところだ、と言わんばかりに。
(……いい目だ。やはり、似ている……あの男に)
そんな彼の瞳を、理事長は神妙な眼差しで見つめるのだった。
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