死神の密度
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めかすわけにはいかん。もうタロットカードで適当な結果出してそれっぽい予言風にしてお茶を濁して帰ってもらおう。
「じゃ、ゆっくり目を閉じて、集中してもらいます。…はい、カード引いて、場に置いて下さい」
場に伏せられたカードを徐に開いていく。まあまあのカードが場に現れていく。タロットの結果は悪くなさそうだ。俺は小さく息をついて『最終判断』、つまり結論にあたるカードをそっと開く。
「…あれぇ?死神ですかぁ?」
―――なに引いてくれてんだてめぇえええ!!!
という魂の叫びをぐっと呑み込み、そっと一筋の冷や汗を垂らす。だってもう、後ろの『あいつ』がガン見だもん。ありゃー…みたいな顔して見てるもん。ていうかお前がそういう顔すんな。お前のせいなんだぞコレ。
「死神とか…これ結構やばいんじゃないですか?」
「えっえっその…いやいやいや…死神のカードには終わりと始まりという意味もあってですね…その…不吉そうには見える…んだけど、そう悪い意味ばっかりじゃないんですよ、はははは…」
今日この状況においてはガチで不吉な意味しかないんだが、俺には云えない…『あんた死ぬわよ』とは…!!
そういや昔ネットでこんな都市伝説を見かけた。
女子高生が占いの館で運勢を鑑てもらっていたら、やおら占い師が震えだし、有り金を全部、その女子高生に握らせ
「このお金を今日中に全部使い切りなさい、明日に持ち越してはいけませんよ!!」
と言い捨てて館を追い出された。女子高生は『ラッキー♪』とばかりに大金を使い切るが、その翌日……。女子高生の死は、強く運命付けられていて占い師にはどうにもできなかったのだ…。
―――その占い師同様の立ち位置に、俺はまさに今立たされているわけだが。
なんだこの立ち位置。思ってたより辛いぞこれ。
この都市伝説は一般にかなり流布されている。だからここで俺が大金渡してこの男を追いだしたら『お、おれ死ぬの!?明日死ぬの!?』ってなるし、第一死神っぽいのが後ろにいるからって、こいつが死ぬ期限まで分かる訳じゃないのだ。…この都市伝説の占い師、命の期限まで特定するとか有能過ぎんだろ。
「あのー…どうしたんですか?黙りこくって」
男に声を掛けられ、思わず飛び上がった。
「あっ…あぁそう、ちょっと…判断しにくいねぇタロットではねぇ…よし、占い替えちゃいましょう。姓名判断にしよう!!」
「へー、何でも出来るんですね」
「ははは…じゃ、お名前を漢字で教えていただけますか?」
男は差し出した紙にさらさらと名前を書き入れた。
「はい、拝見しますよ、と。…えぇ…これは…」
「珍しいでしょ。『はら うねび』って読むんですよ!」
『原 畝』
「うっわ……」
最凶の画数と云われる20画!!しかも姓と名の画数が揃う『天
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