第5章:幽世と魔導師
第141話「がしゃどくろ」
[5/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
聞こえた瞬間、呪詛がまき散らされた。
何か来ると分かっていた時点で、私達は大きく距離と取っていたので、防ぐにはそこまで苦労はしない……と思ったのだけど。
「っ……づ、ぅ……!!」
霊力を纏い、障壁をいくつか張り、武器で切り裂こうとする。
……その上で、呪詛の力に身を焼かれる。
相当威力は減らしたけど、まさかここまでとは……!
「っ……!」
―――“中回復”
―――“息吹”
すぐに回復用の術を自身に掛け、伝心を試みる。
「『アリサ!すずか!無事!?』」
『な、何とか……』
『ぼ、防御の上から削られたよ……』
……何とか、二人も凌ぎきったらしい。
それにしても、ここまでの威力なんて…修行の経験がなければ死んでたかも…。
「ここからが本番…とでも言いたげだね、これは……」
呪詛を直撃でないとはいえ、受けたからか体が重い。
どうやら、体が蝕まれているらしい。まずは浄化する必要があるね。
「『……一旦集合。態勢を少し立て直すよ』」
『っつ……分かったわ』
『うん…』
問題は体を蝕む呪詛だけじゃない。
がしゃどくろの周りには、さっきの呪詛の影響なのか、近づけばそれだけで呪われそうな瘴気が溜まっていた。あれをどうにかしない限り、どうにもならないだろう。
「アリサ、すずか」
「あ、アリシアちゃん、アリサちゃんが…」
集合してみれば、アリサがだいぶ辛そうだった。
「ぐ……ぅぅ……」
「これは……やっぱり、呪詛…」
私よりも呪詛に蝕まれてしまったのだろう。
とりあえず、治療したい所だけど……。
「くっ……!」
「っ…!」
がしゃどくろの攻撃が止まっている訳ではない。
振るわれた拳は何とか躱す事が出来たけど、これでは回復の暇がない。
「(消費は大きいけど、仕方ない…!)」
―――“旋風地獄”
そこで、私は霊力を大きく消費する代わりに、大きな規模で術を発動する。
風の刃を大量に展開し、がしゃどくろを覆うように放つ。
大したダメージにはならないけど、目的はそこじゃない。
「よし……!すずか!」
「うん!」
風属性の術を扱ったのは、砂煙を巻き起こすため。
大規模に風の術を使う事でがしゃどくろの視界を封じたのだ。
「ここまで来れば、少しは持つはず」
すぐに移動して、木々に隠れる。
目暗ましでそんなに時間を稼げるとは思っていない。
即座に砂煙は払われてしまうだろう。だから、すぐに事を済ませる。
「………」
―――“快方の光”
術式を構築し、浄化の光をアリサに浴びせる。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ