第5章:幽世と魔導師
第141話「がしゃどくろ」
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だから……!
「っ……!」
振りかぶられた拳を、内側に入り込むようにギリギリで躱す。
まるで体が軽くなったように解放された感じだ。
ずっと緊張で体が強張っていたんだろう。
「はぁっ!」
気合一閃。すれ違いざまに斬りつける。
さらに振り返りつつ御札を投げ、目暗ましの炎の術式を放つ。
「アリサ!すずか!」
「っ…!アリシア…!」
「アリシアちゃん……」
一度吹き飛ばされた二人は、少し苦しそうにしながら戻ってくる。
私と同じく、呼吸を整えれば何とかなる程度のダメージだろう。
「……実戦だからって、必要以上に緊張してた。椿たちの修行を受けていた時を思い出して。これぐらいの苦しさ、経験したでしょ?」
「ぁ……」
「……それも、そうだね…」
二人も私と同じだったのか、今の言葉で顔つきが変わる。
まるで肩の荷が下りたように、緊張が消えていた。
「改めて行くよ…!大まかな指示はすずか、任せたよ」
「うん。了解」
「細かい動きは各自で考えよう。これだけ大きな妖なら、もつれあう事もないし」
「そうね」
そうと決まれば、私達は駆けだす。
動きを警戒しつつ、身体強化を施す。
すずかは少し後ろに下がり、いつでも援護射撃ができるように御札を構えている。
アリサも二刀を構え、私も御札と刀を持つ。
「動きをよく見て!椿たちの攻撃と違って、ちゃんと躱せるはず!」
「分かったわ!」
途端に振るわれる腕。それに手を添え、跳躍して躱す。
乗り越えるように躱した私に対し、アリサはハードルのように躱したみたい。
そうして、空中に躍り出た私達の内、アリサに呪詛が飛ばされる。
「霊力を込めて……切り裂く!!」
―――“戦技・双竜斬”
だけど、それは霊力を込めた二撃で切り裂かれる。
当然だ。呪いの類である呪詛も、一応は霊力。
同じ力であるならば、それで対抗すれば切り裂く事も可能だ。
「っと、っと、っと!甘いよ!」
―――“氷柱”
―――“弓技・氷血の矢”
私の方にも呪詛が繰り出されるけど、こっちは既に着地して体勢を整えている。
全部躱して、反撃に術と矢を放つ。
刀を持っていた意味がなかったけど……まぁ、そこはご愛嬌だね!
「っ、今!」
―――“氷血旋風”
私に気がそれた所へ、すずかが術を放つ。
しっかりと霊力を練っていた分、強力だ。
「アリサ!」
「分かってるわ!」
氷の術を何度も当てたからか、がしゃどくろの動きが鈍る。
畳みかけるためにアリサに声を掛け、同時に攻撃を仕掛ける。
「「はぁああああっ!!」
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