暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
外伝 メタル・ライフセーバーズ
第1章 着鎧甲冑ドラッヘンダイバー
第1話 第二世代へのバトン
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ワガハイはデマを流したつもりはない。レスキューカッツェに回した一号機と二号機からは、すでに十分なデータが取れているが……それは、あくまで経験豊富なベテランから得た情報に過ぎん。これから次世代機と共に歩んでいく若者のデータがないままでは、試作機の意味がなかろう」
『しかし、ダイバーシステムは精鋭揃いのレスキューカッツェの隊員ですら、乗りこなせる人間は一握りだったのですよ。学生の中から適格者が見つかるものでしょうか……』

 電話の向こうから、訝しむような彼女の声が聞こえてくる。だが、男はその反応を予見していたかのように――口元を緩めていた。

「案ずることはない。すでに、目星は付けてある」
『え……!』
「帰る場所のない彼には、丁度いい拠り所になるやも知れん。それにダイバーシステムの資格者であるという名誉も、故郷への土産話になろう」

 そう言ってのけた彼の背後にある、一台のコンピュータは――ある一人の少年の情報を、そのディスプレイに映していた。
 携帯電話を顔から離し、それを一瞥した男――久水財閥現当主・久水茂(ひさみずしげる)は、視線を窓の向こう……遙か彼方の海原へ移す。

「貴様の後釜にも――なり得る少年であることだしな。なぁ……一煉寺龍太(いちれんじりゅうた)よ」

 この日本から遠く離れた砂漠の国で、今この瞬間も戦い続けている――盟友を思って。

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