第六十三話 春の飛翔
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た彼は、
この様な辺境の一惑星の地方官として派遣されていたのである。
今日もまた暇な毎日が始まるのかと、
最早恒例と成った朝のニュースを見ていたのである。
ふむ相変わらず変わり映えのしないニュースばかりだ、
此処では俺の才能を発揮することすら出来ない、
中央ででかい仕事をして俺の名を後世に残したいモノだ。
ん?皇女の記念劇場だって、又ぞろ無駄遣いだな、
だいたいロココ調だバロック調だって古くさいんだよな、
俺が設計すれば斬新な物を作るのにな。
所がそのニュースを見た彼は、普段の嘯くような態度は何処にも見あたらず、
心の奥底から沸々と沸いてくる喜びに包まれたのである。
「よしー、俺が設計してやるぞ!」
思わず1人で大声を上げるシルヴァーベルヒ。
この年24歳の春であった。
■ボーゲン星系 エルネスト・メックリンガー
此処にもまた若き才能を持つ男が軍務に付きながら、
休みの日にはスケッチを行いつつ過ごしていた。
一昨年、昨年の参謀職により楽しみにしていた個展を中止しなければ成らずに大変残念な結果であった。
彼は今日もスケッチをしながら、次回の個展は何時開けるかと考えていた。
部屋に帰り昼食でもと思っているとTV電話が鳴った。
誰かと思えば一昨年の参謀職以来、
芸術談義などで付き合いのある、ケルトリング中将からだった。
「メックリンガー少佐、久しぶりだね」
「中将閣下もお変わりなく、この度の正規艦隊司令官就任おめでとうございます」
「ありがとう、まだ4ヶ月だからね中々大変だよ」
画面の中で照れくさそうにはにかみ笑いをする中将。
ケルトリング中将、銀河帝国開闢以来の武門の名家で侯爵である方。
しかしその人となりは門閥貴族とは思えないほど、
気さくであり部下の忠告を良く聞き作戦を仕立てる方だ。
「本当なら貴官を参謀に欲しかったのだけどな」
残念そうな顔をする中将。
「仕方がありません、色々有りますから」
世間話をするにはしては態々FTLを使う事もないはずである、
何か有るのかと考えていると中将から話し始めた。
「メックリンガー少佐、今朝のニュースを見たかね?」
怪訝な表情をするメックリンガー。
「いえ今朝は朝からスケッチに出ておりましたので未だ見ておりません」
何か有ったのだろうか。
「いやね皇女殿下のローエングラム領相続を記念して、
今度オーディンに記念大劇場が作られるのだよ」
にこやかに話す中将。
「なるほど閣下のご令嬢は殿下のご学友ですね、
しかし其れが何か有るのですか?」
「それで、その劇場の設計を全臣民から募集するのだよ」
しかし私には関係が無いはずだ。
「閣下自分は芸術を解しますが、建築は門
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