第241話 一煉寺龍太の戦い
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も安心して国に帰れるね」
「まぁな。……ところでジェナ。今日の作戦で、何か得るものはあったか?」
「えっ? ま、まぁ……なくはない、と思うけど……」
「――なら、それで充分。お前の言う通り、安心して国に帰れるってもんだ」
龍太は憂いを帯びた彼女を見ても敢えて深くは詮索せず、ただにっこりと笑い――さらに強く頭を撫でる。その行為を受ける中で、ジェナは彼の言葉を心の中で思い返していた。
(安心して国に――か。この人も、信じてくれたのかな……私のこと)
あれほど憎んでいたはずなのに、恐れていたはずなのに。今は、彼の手を笑顔で受け入れてしまっている。
そんな自分に戸惑いながらも、ジェナは微笑みを隠せずにいるのだった。
「……が、がふっ……!」
その時。半ば気絶していた「鉄拳兵士」が、意識を完全に回復させた。
彼の尋常ならざる復活の速さに、二人は思わず目を見張る。
「……驚いたな、想像以上のタフガイじゃねーか」
「ぐっ……ここは……そうか、俺は……」
意識が戻ったと言っても、ダメージが消えるわけではない。「鉄拳兵士」はうつ伏せに倒れたまま、自分のそばに腰を下ろした「救済の超機龍」を見上げる。
その姿を目の当たりにして、彼は自身が敗北する瞬間を色濃く思い出すのだった。
「……やはり、悪は淘汰されるべき、だったな」
「さぁな。……正しいか悪いかなんて、周りが勝手に決めることだ。俺もあんたも、自分なりに正しいと信じたもののために戦った、そんだけだろ」
「……」
龍太の言葉を受け、銅色の拳士は暫し無言になる。そして再び顔を上げた彼は――縋るような声色で、龍太に問い掛けた。
「……教えてくれ。俺は、一体なんだったんだ。俺は――今まで、何のために……」
「……!」
戦いの時に見せる精悍さとは違う、どこか弱々しい声。それを耳にしたことで、龍太は彼が自分と戦おうとした真の動機を悟る。
――その上で。
「……そんなもん、今すぐわかるわけねーだろ。いいヤツか悪いヤツかなんて、そいつが死ぬ時が来るまでわからねぇ」
「……」
「だけど、好きで悪になりたがるヤツなんて、そうはいねぇ。だからみんな、自分が信じるやり方に生きてる。……自分が生きてる意味なんて、そこにしかねぇんだから」
「……死ぬまで生きなければわからない……か」
敢えて突き放すように言い残し――立ち上がる。
それが「鉄拳兵士」……こと、真壁悠が追い求める答えに近づく、ただ一つの術であると信じて。
「さて……じゃあ全員縛り上げて、さっさと帰投しようぜ。武装組織にまでここに来られちゃあ、さすがにたまったもんじゃないからな。行くぜ、ジェナ!」
「う、うん!」
そして、再びジェナの方へ視線を移し
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