第238話 一角と双角
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れ……!」
「やっ……やばい、逃げろぉおおぉっ!」
その兵器を目の当たりにしたシンジケート側は、積もり積もった疲労もあいまって、ついに戦線崩壊を迎える。
武器を捨て、我先に地下のアジトへ逃げ込んで行くシンジケートの私兵達。その背中を付け狙うように、ルナイガンはジリジリと歩みを進めていた。
「ひひ、ひひひ……! 皆殺しだ、全員焼死だ……ざまあみろ!」
「た、隊長……」
「隊長……」
本来ならば優位に立ったと喜び、戦意を回復させるところであるが……特捜隊の兵士達は誰一人、隊長に続こうとはしなかった。
豹変した彼の姿に――言い知れぬ恐怖を感じていたからだ。人間のそれとは掛け離れた表情で、シンジケートを追うその姿に腰を抜かしているのである。
「やめてルナイガン中尉! 自分が何をしようとしてるかわかってるの!? 私達の任務は、シンジケートのボスを逮捕することなのよ!?」
「……黙れ! 後から来ただけの保安官風情が偉そうな口を利くなッ! このまま取り逃がすより百倍マシだろうがッ!」
「あうっ!」
その狂気に触れてもなお、挫けずにいたジェナは彼にしがみつき、説得を試みる。が、にべもなく火炎放射器の銃身で殴り飛ばされてしまった。
小柄な彼女の身体が、勢いよく跳ね飛ばされる。しかし地面に激突する寸前、その身体は龍太に受け止められていた。
「……」
「イ、イチレンジ先輩……」
「貴様……なんだその眼は。俺が、間違っているとでも言うのか」
冷ややかな龍太の眼光と、ルナイガンの狂気の瞳が交わる。味方同士でありながら、既に一触即発の様相であった。
――その時。
シンジケートの私兵達が逃げ込んでいたアジトの入り口から――新たな人影が現れた。
それに気づいた三人は、咄嗟にそちらへと視線を集中させる。そこに立っていたのは――人間、ではなかった。
否、人間の形はしているが……そのシルエットは常人のそれを逸脱するものだったのだ。
全身を覆う漆黒のボディースーツ。その各部を保護するように装着された、銅色のプロテクター。
一角獣を彷彿させる突起を持つ、プロテクターと同色の兜。
その奇妙な衣を纏う男は、逃げ出した私兵達と入れ違いになるように、龍太達の前に姿を現す。
他のシンジケートの私兵達とは一線を画する外見。その様相に、龍太は――「銅殻勇鎧」の面影を見るのだった。
(そうか、あいつが……)
刹那、男を睨む龍太の眼差しに鋭さが加わる。だが、新手を前にして動き出したのは彼ではなかった。
「貴様も仲間かァァァァッ!」
狂乱の叫びと共に、ルナイガンは火炎放射器の引き金を引き――
「だめぇえぇえぇえッ!」
――この荒野に火の手が上がる時。ジ
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