第236話 天真爛漫な女王陛下
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壊滅させてご覧に入れます! そのようなお気遣いがなくとも……!」
「そういう軋轢を解消するための派遣なのだ。ただでさえ国内が安定しきっていないというのに、国の治安を担うお前達がその有様ではそれこそ心許ない。国防軍も保安局も、国民の守り手であることには変わりないのだぞ」
「し、しかし!」
「慌てずとも、任務を果たせばお前にも兵士達にも恩賞は与える。今はしっかりと英気を養うことだ。……下がれ」
有無を言わさぬ口調に気圧され、主張を通しきれなかったルナイガンは、やがて腑に落ちない表情で王室を後にする。
よりにもよって、最大の邪魔者であるあの日本人を同行させねばならない。その事実に、歯痒さを覚えているようだった。
その背中を見送り、王室に静寂が戻ると――ダウゥは積もり積もった鬱憤を吐き出すように、大きく溜息をつく。
「全く……あいつにも困ったもんだぜ。何が保安局如き、だよ。リュウタが調査してきた情報を横取りしなきゃ、捜査もままならなかったクセして」
「国防軍が再編されて十四年。人口増加に伴い男性兵士も増えてきているとはいえ、一般的な軍隊としてはまだまだ発展途上ですからな。日本の技術とノウハウが浸透しきっていない現状では、この程度が関の山――ということでしょう」
ジェリバンは淡々と語りつつ、国防軍に捜査技術等のノウハウが定着していない現状を憂いていた。
国内に息づく日本への反発心。日本の力がなくては現状維持もままならない国力。その両方に縛られながら、このダスカリアン王国は存続している。
ライフラインや経済が徐々に安定に向かい始めている一方で、この問題は絶えることなく首脳部を苦しめ続けていた。
そのしわ寄せを受けながら、今も懸命に戦っているであろう息子の生き写しを案じ、ジェリバンは俯くように視線を落とす。
「それより姫様。いけませんよ、そんな言葉遣いは。これからこの国を治めていくお方が、いつまでもそんな口調では……」
「もー、いいじゃねーかケンイチ。どうせ誰も見てないんだし。それにこういう堅っ苦しい物言い、オレにはどうも馴染まねーし」
「……それじゃあ龍太君にも、女の子扱いしてもらえなくなりますが」
「……や、やだ! それはやだ!」
その空気を変えようと話題を変える剣一の言葉に、ダウゥは三年前と変わらぬ口調で反発する。身体つきや声色、顔立ちは大人の女性となった彼女であるが、その内面に根本的な変化は見られない。
テンニーンに酷似していた龍太の顔立ちは、三年間の時を経て成人の風格となり――兄、龍亮と瓜二つの美男子に成長していた。
ダウゥから見れば、それは憧れのテンニーンがさらに逞しくなった姿でもあり……彼女の内に眠る女としての本能を引き出させる要素でもあった。
「……リュウタが国防軍に入
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