第234話 伊葉和雅の償い
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漆黒の双角を持つ赤い鎧。その甲冑を一瞬で纏う隻腕の拳士は――残された右腕だけで、ヘッドショットを防いでいた。
その口から零れ出る低いトーンの声に、男達は身の危険を本能で覚え――反射的に銃を構えた。
「おっと!」
だが、保安官「だった」男はそれよりも早く飛び上がり、家屋の屋上に着地する。銃を構える頃には敵がいなくなっていたことに気づいた男達は、狼狽しながら周囲を見渡し始める。
「危ねえなぁ。同士討ちしたらどうすんだ」
その声を聞き取って、男達はようやく敵の存在を感知して銃を向ける。
「そうそう、武器は仲間に当たらねぇようにしなきゃな」
そんな武装集団の姿に感心するような声を上げながら、男は改めて臨戦態勢の構えに突入した。
「……さーて。用意が出来たところで、そろそろ一仕事始めるかな」
それは戦いと呼ぶには、あまりにも一方的で――男達にとって、凄惨なものだったという。
――ダスカリアン王国城下町駐在、一煉寺龍太保安官。
二十二歳の若さにして絶対的な戦闘力を持ち、幾多の武器密売シンジケートのアジトを潰してきたことで知られる、中国系ハーフの拳士である。
しかし、その一方で――日本人としてこの国に来たことから、国民の中には「赤い悪魔」と彼を呼ぶ者もいた……。
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