第230話 新たなるステージへ
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うむ。奴らは、力を手にするためにはどのような手段も厭わぬ。この一年、私とコガチ殿で幾多のアジトを壊滅させてきたのだが……大元は未だに潜伏を続けているのだ。国内に広がりつつある日本への反発心を利用して、着鎧甲冑の技術を狙うようになっても不思議ではない」
「日本人に優しい人だっているんだろ?」
「一部にはカズマサ殿への感謝を忘れず、日本に好意を持っている国民や兵士もいるが……もし件の兵士が親日家でなかったなら、最悪の事態も考えられた。今後は、そうなっていく可能性も高まるだろう。これ以上奴らを野放しにしていたら、ダスカリアンの国民にとっても危険であることは確かだ」
「……そうか」
俺が迷っている間に……振り回されている間に、苦しんでいる人がいる。助けられるかも知れない人を、俺は見放そうとしている。
だったら……!
「いいだろう。その仕事、受けて立つ」
「りゅ、龍太君!」
「……だけど、後出しの任務追加はナシだ。そいつらをぶっ飛ばしたら、すぐに日本に帰らせて貰う。俺の帰りを待つ人もいるんでな」
「……君ならそう言うだろうと、思っていたよ。もちろん、我々も信頼を守ることを是としている。裏切るような真似はしない」
俺は拳を胸に当て、依頼を受けることを宣言した。それを目の当たりにした牛居さんの口元が、不気味に吊り上がる。
ダスカリアン王国を食い物にしようとしてる連中の言い分なんて、聞きたくはないが――それを、戦いから逃げ出す口実にする気はない。
そんな俺を好きと言った矢村のためにも、この仕事は速攻で片付ける。この手を握るチンチクリンを、俺のオンナにするために。
「では、契約成立だ。高校を卒業したらすぐ、君にはダスカリアン王国に発ってもらう」
「……ああ。任せとけ」
「龍太……」
牛居さんは再び、品定めするような目で俺を見た後――満足げに踵を返した。その背中を視線で追う俺の手を、矢村はギュッと握り締めている。
「三年だ、矢村」
「え?」
「高校を卒業したら、三年で帰ってくる。それまでに悪い奴らを全員ぶちのめして、帰ってきたら速攻で結婚式。約束だ」
「……うんっ!」
俺は牛居さんの後ろ姿を見据えながら、ちっこい妻の肩を抱く。……この温もりは、今のうちにたっぷり味わっておかないとな。
――そして、そこ。死亡フラグとか言うんじゃない。
「古我知さん」
「……ん?」
「今度の面会で、伊葉さんに伝えてくれ。もう、あんた一人で戦わせたりはしない――って」
「ああ……そうだね。確かに、そう伝えておくよ」
背中越しに、古我知さんに伝言を託して。俺は窓から覗く、日本の夕焼けを見つめる。
……帰ってくるさ、必ずここに。
そして。
「くぉらぁぁああッ! なにを俺の前でイチ
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