第229話 招かれざる者
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母さんは母さんで、そんな将来の親戚を微笑ましく見つめている。
「これは随分と口に合うな。きっと、ダスカリアンでも人気が出るだろう」
「作り方なら教えられますよ。材料も、向こうで手に入れられるものが多いですし」
「それは頼もしい。人間同士の和を保つ上で、食文化という要素は欠かせないからな」
「ええ――そうですね、本当に」
「……?」
一方で、厨房では古我知さんとジェリバン将軍が料理に興じているようだった。どうやら将軍は、日本の料理がかなり気に入っているらしい。
古我知さんも一見乗り気だが――さっきからカラオケ大会を睨む目つきがやべぇ。今にも料理をほっぽり出して電撃参戦しそうな勢いだ。
「ほら、腹いっぱい食いや。グレカン」
「勝手に略してんじゃねぇ! グレートイスカンダルだ、グレートイスカンダル!」
「そんな呼びにくい名前噛んでまうわ! だいたいあんたごと引き取ったのはアタシん家なんやから、呼び方くらい好きにさしたってええやろっ!」
「それとこれとは話が別だっ! とにかく、グレートイスカンダルに勝手な略称を付けるのは、このオレが許さない! 絶対ったら絶対だ!」
「なんやと!?」
「なんだよ!?」
その頃テーブルの下では、キャットフードを与えられたグレートイスカンダルを間に挟んでの、恒例の口喧嘩が始まっていた。
日本に留学している間のダウゥ姫が矢村家に居候することになったこともあり、彼女達はさながら姉妹のように毎日を共に過ごしている。……いつもあんな感じではあるけどな。
「しかし……本当によく戦ってくれましたわ、鮎子。龍太様だけでは絶対! こうは行かなかったことでしょうし」
「……当然。先輩なら例え一人でもバカみたいに! 突っ走っていくって……わかりきってたから」
「そうよね。龍太君ったら、今も昔も無茶しか! しないんだから」
救芽井、鮎子、久水先輩の三人はご馳走をつまみながらガールズトークに興じている――が、その話題の多くは俺の悪口になっていた。
聞こえよがしなボリュームである上に、口調がいちいち刺々しいんですけど……女ってこえぇ……。
「お前にも、随分たくさんの友達ができたのだな……。三年という月日は、こうも人を変えていくものなのか」
「……変わらないさ、昔から。俺は今だって、猪突猛進のバカ野郎だ」
「本当にお前がそれだけの男だったなら、今日のためにこんなに人が集まることはなかったさ。見るべきものを持った人間とは、そういうものだ」
ようやく甲侍郎さんから解放された俺は、親父に肩を抱かれながらスネるようにジュースを飲む。俺に見るべきものがあるってんなら、もう少しオブラートに包んだ言い方したっていいじゃない!
「だ〜いじょぶだって龍太。泣きたくなったら兄ちゃん
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