第227話 俺とお前の最終決戦
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「――あんたの道を、これ以上進ませるわけには行かないんだ。投降してくれ」
「……そんな問答に、意味はありません。私を無力化したいのであれば、戦って倒せばいい。殺してしまえばいい」
「ただ相手を倒すことだけが、俺達の仕事なら――言われるまでもなく、そうしてるさ」
「……わかりませんね。私は、あなたのお兄さんを――」
「――分かるはずがないさ。お前と俺は、違う道に生きてるんだから」
兄貴のことは、確かに許せない。だけど、それで彼女を殴り倒したところで――何も変わりはしない。ただ、俺の拳が痛いだけだ。
だったら、きちんと法に則った罰を受けてもらった方がいい。それしか……ないだろうが。
「違う道――ですか。なるほど、確かにその通りです。ヨシエさんの生き方に背くことでしか、私は彼女の理想を追うことが出来なかった……」
「……なに?」
その一方で、ラドロイバーは穏やかな口調のまま、ヨシエという女性に思いを馳せていた。この圧倒的に不利な状況がわかっていないのか?
ていうか、ヨシエって……。
「……ですが。そこまでわかっていながら――道を違えていると知っていながら。こうして私に手を差し伸べようとしているあなたは――」
「――ッ!」
刹那。
残り少ないエネルギーの、全てを乗せたレーザーの一閃が――俺の視界に広がっていく。
「――本当に、愚かなのですね」
まるで。
赤い花が、開いていくように――
『先輩ッ!』
――と、いう景色の中で。鮎子の叫びが、一際大きく俺の心に轟いていた。
「くぁ……ッ!」
その響きだけが――不意の一閃で終わりかけていた俺の命を、紙一重で繋いだのだった。
反射だけで頭を横にかわし……右の頬に、レーザーの焼け跡が付く。増加装甲を取り付けられた仮面など、容易に貫通していた。
――今までの中で一番、強力なエネルギーが込もっていたように感じる。鮎子が呼びかけてくれなければ、今頃は仮面ごと、頭を吹き飛ばされていただろう。
……何が、愚かだ。愚かだから、なんだ! お前の方こそ――!
「――この分からず屋がァァァァアァアッ!」
『――この分からず屋がァァァァアァアッ!』
辛うじて、最後のレーザーをかわした瞬間。
俺達は全ての鬱憤を叩き込むように、渾身の正拳で彼女の顔面を打ち抜いて行く。肘の小型ジェットにも、強烈な加速を付けて。
「が……あッ!」
その一撃をまともに受けた彼女の兜は――ついに、粉々に粉砕された。砕け散った黒曜の仮面が、幾つもの破片となって空へ広がっていく。
そして、全ての力を失い……落ちて行く彼女の身体を――夜明け前の空が照らしていた。
「鮎子、最後の大仕事だ!」
『うん……行こう!』
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