第226話 唸る鎧
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まで来たなら、後は俺一人で――!
『……せん、ぱい……!』
「……なッ! あ、鮎子!? 目覚めたのか……!?」
――というところで、鮎子の声までが俺の通信に現われてしまった。そうか、受信機材は生きていたから……!
『――諦められない。そんな先輩の感情が、先輩と一体化して戦ってきたボクの精神を、一緒に目覚めさせてくれたんだ』
「そっか……。済まねぇな、叩き起こすようなマネしちまってよ」
『ううん。――信じてたから。先輩は最後には結局、助けるために立ち上がっちゃう人だって』
鮎子の精神が目覚めたということは、装甲のバーニアも復活したということ。「超機龍の鉄馬」はもう使えないが――まだ、諦めるには早い。
俺と長い間、一体化して戦っているためか――彼女の語気も、いつになく強まっている。
『ようやく目覚めましたわね、鮎子』
『……梢のいじわる。最初から、先輩を焚きつけて復活させることと、その時間を稼ぐのが目的だったんでしょ』
『さて、何のことでしょう。ワタクシはただ、このままバッドエンドで終わらせるつもりはなかった――それだけのことでしてよ』
――どうやら、すっかり久水先輩の策に乗ってしまったらしい。
だが、今回ばかりはその配慮には感謝しないとな……!
「……どうやら、ただ撃ち抜くだけでは終わらなかったようですね」
「……ああ。さっきの一発を撃てなかったのが、痛かったな」
振り返り、俺は――俺達は、再びラドロイバーと相対する。既にお互い、手負いとなっている状態だ。
もう――これ以上、戦いが長引くことはない。
「これで最後となるでしょう。あなたの命運も、私の真の戦いも」
ラドロイバーも、それはわかっているのだろう。俺達との戦闘を真の戦いと称し、月光を背に飛び上がって行くその姿からは、決戦に臨む者ならではの威勢が滲んでいる。
その様を見上げる俺も、ボロボロの身体に鞭打ち――飛び上がるため、両足に力を込めた。
そして。
「龍太君……」
「世話かけたな、救芽井。俺はもう、大丈夫だ!」
「……うん!」
膝をついている救芽井に、俺は精一杯の元気で応え――
『龍太様。負けたら罰として、死ぬまで精を絞り取りますわよ』
「負けたらその前に死んでるっつの。――鮎子のことは、任せとけ」
『――お願い致します。ご武運を』
軽口を叩く久水先輩にも、勝利を約束し。
『これが、本当に最後の戦いになる……。――さあ、行こう先輩!』
「おうっ!」
鮎子と共に決意を固めて……両足で地を蹴り、俺達は夜空へ飛び出して行く。
真の決着を、付けるために。
「そろそろ――終幕と行きましょう」
「ああ――もっともだ」
夜空は既に、少しずつ―
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