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フルメタル・アクションヒーローズ
第226話 唸る鎧
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諦めるような人ではないと――今でも信じ続けているはずざます。樋稟さんを、このまま見捨てたりはしない――と』
「……!」

 その時。

 久水先輩は、俺を焚きつけるような言葉を並べながら――親友の名を挙げる。
 それに導かれるように……俺は仰向けになっていた身体を捻り、身を起こそうとして――血反吐を吐いて倒れ伏した。

 それでも、まだ……俺の身体は動いている。
 全身が悲鳴を上げているというのに……機械仕掛けとなった俺の中身が、まだ倒れてはならないと叫び続けているのだ。

「……」

 言葉を発する気力と引き換えに、俺はうつ伏せの状態から顔を上げ――撃墜された「超機龍の鉄馬」の残骸を見遣る。
 完膚なきまでにボロボロだが――まだ、鮎子の脳波を受信する機材だけは、辛うじて生きているようだった。
 かつては蒼く輝く装甲に守られていた、その部分だけが――痛ましくも懸命に、作動し続けていた。

 ――まだだ。まだ、終わっちゃいない。終わらせちゃ、いけない!
 救芽井を、こんなところで死なせるわけにはッ……!

「……っ、くぅ……ッ!」
「無理なパワーアップの反動……のようですね。所詮、試作機の性能限界を超えるには至らなかったということですか」
「……ごめ……ん、賀織……。せっかく、貰ったパワー……でも、倒し、切れなくって……」

 一方、俺の後ろでは、力尽きたらしい救芽井の喘ぎ声が聞こえている。とうとう、パワーアップが限界に達してしまったらしい。
 ……このままでは、先に救芽井が殺される。俺が行かなきゃ……俺が立たなきゃ、皆が死ぬんだ!

 こんなところで、終わらせてッ……!

「……た、まる、か……!」
「――ッ!? りゅ、龍太君……!?」

 仮面の中を、血で汚しながら――俺は両膝をついて上体を起こす。
 次いで、全身を軋ませながら、膝に手をつき――そこを杖にするように力を込めて。

「……たまる、かァァァアアァアッ!」

 命を削るように、叫び。

 両の足で――ついに、立ち上がる。

『――そう。それでこそ、ワタクシが全身全霊で愛した――殿方ですわ』

 そんな俺の姿を、今もどこかで見ているのか――久水先輩は、満足げな声色で何かを呟いていた。

「……そう、か」

 そこでようやく、俺は内臓が機械化されていたおかげで生き延びていることに気がついた。胸を貫かれたはずなのに――呼吸が安定してきているのである。
 貫かれたのが胸の機械化されたパーツでなければ、今頃は出血多量でくたばっていたところだ。生身の頃の感覚に飲まれて、精神から死にかけていたがな……。

 いや――ラドロイバーに勝たない限り、それは早いか遅いかの違いしかない。鮎子はもう眠ってしまったが……ここ
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