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フルメタル・アクションヒーローズ
第226話 唸る鎧
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かし、その時。僅かばかり、ラドロイバーの右腕は――痛みに耐えるように震えていた。
 ん……? あの腕は……。

「今だぁぁあッ!」

 その震えが生む一瞬の隙。そこへ畳み掛けるように、救芽井は矢の如き速さで襲い掛かって行く。
 本来なら簡単に右のレーザー銃で撃ち落とされていたところだが――この時の彼女はなぜか、わざわざ振り返って左のレーザー銃を構えていた。
 その遅れにより生じたタイムラグを活かし、救芽井はレーザー銃が閃光を放つ前に、外腕刀で銃身を逸らし――ラドロイバーの懐へ入り込むのだった。

「賀織がくれた、この力を――着鎧甲冑部を、ナメるなあぁぁあッ!」
「――ぐッ!」

 そして、顔面に炸裂する強力な肘鉄。その一撃を受けたラドロイバーは、額を抑えながら数歩後ずさる。
 傍目に見れば絶好のチャンスである――が、救芽井はそれ以上追撃することなく、残心を取りつつ後退した。

 ――今の一連の攻勢。ラドロイバーが左でレーザー銃を撃とうとしていなければ、確実に俺のように撃墜されていたはず。
 だが、彼女の佇まいに博打のような緊迫感はなかった。恐らく、全て計算尽くだったのだろう。
 ……だとしたら、なぜラドロイバーが右のレーザー銃を使わないとわかって……右?

 右……右腕。右肩。……そうか!

『お気付きになられましたか、龍太様』
「……!?」
『いえ、喋らずとも結構ざます。今の状況で不要に体力を使うこともありませんわ』

 俺が救芽井の胸中に感づいた瞬間。久水先輩からの通信が入ってくる。やっぱり救芽井は、彼女の差し金だったのか。

『あなた様と鮎子の戦い。僭越ながら、鮎美さんのコンピュータを介して、モニタリングさせて頂いておりましたわ』
「……!」
『あなた方はミサイルをかわすことに精一杯で、気づいておられなかったようですけど……。あなたが外した、ラドロイバーの右肩。自力で整復して可動するようにしたと言っても、ダメージ自体は残っておりましたのよ』
「……」
『そこをパワーアップさせた「救済の先駆者」で攻め、一矢報いる。それこそが、ワタクシ達の目的でしたの』

 俺が残したダメージに賭けて、唯一まともに戦える「救済の先駆者」をパワーアップさせて畳み掛ける。なるほど、確かに効率的だ。
 ――しかし、それだけじゃラドロイバーは破れない。額から手を離し、救芽井を見据える漆黒の鉄兜からは、ただならぬ殺気が漂っている。
 その鉄兜にも、俺達の拳や救芽井の肘鉄が効いていたのか――小さな亀裂が入っていた。もう、旧式が相手だからといって容赦することはないだろう。
 同じ手は、使えない……万事休す、だ。

『龍太様。あなたは、もう諦めてしまわれたのですか?』
「……?」
『鮎子は少なくとも、あなたが
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