第七章 C.D.の計略
ディライン その在り方
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向かってくるディライドに対し、クウガ、キバーラ、ディエンドの三人が立ち向かう。
対して、士は歩を進めて老人へと近づいていった。
「俺が、お前に、何を言った」
一言一言を、踏みしめるように、噛みしめる様に、刻みつけるかのように、門矢士は老人に聞く。
一体俺は、過去にまた何を言ったんだ?
「あなたは言いました。正義はどこから生まれても正義なのかと」
「・・・は?」
「あなたは言いました。何故、仮面ライダーは悪から生まれるのかと」
「・・・・」
「それは私自身が抱いていた、靄のかかっていた疑問をはっきりと言葉にしてくれたものでありました」
悪から生まれた。
それでも尚、正義であった。
その出自が悪たる闇の中からであろうとも、わが身の一片までをも正義の礎足らんことを。
そうして戦った男がいた。
そうして剣を振るった戦士がいた。
そうして命を落とした勇士がいた。
そうして伝説となった英雄がいた。
ならば、悪とは?
悪になるとは何なのか。
悪から生まれた悪は滅びた。
幾度となく生れ出ようとも、幾度となく滅ぼされる。
悪からの出自という、歪な経歴の正義が、なぜここまで生き延び
悪であれと闇の深淵から生み出された正当なる悪は、ひと時の煌きで消え去るのか
「あなたは言いました」
ならば、悪のなんと儚いこと。
今や悪の組織として、疑う余地のないこの大ショッカー。
その大首領たる自分は、このままならばおそらく滅びる。
いずれ脱した正義の輩の、容赦のない一撃で大地に踏みつぶされるのだ。
「あなたは言いました」
ならば抜けよう。
そうだ、自らがそれになればいい。
悪を抜け、正義を行う仮面ライダー。
その存在に、自分がなるのだ。
これまでのことを考えるに、その方式で生き残れる。
ならば生半可はだめだ。
本気で会心せねばなるまい。
記憶を消した。
素性を消した。
そして、彼は出自不明の謎を秘めた「主人公」となったのだ。
世界のどこかで、自分の物語が始まるのを、待った。
「あなたが言ったのです」
残された男は考えた。
大首領は行ってしまった。
自分だけにすべてをお話になった。
なるほど、それは確かに納得だ。
その論理は理に適ってる。
だったなら。
自分たちの存在は何だ。
いずれ滅びるために、今我々はここにいるのか?
「あなたが言った言葉です」
悪から生まれた。
正義になった。
戦い、勝利し、その名は永劫に刻まれる。
「ならば!!」
正義から生まれた。
悪になった。
「なら
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