第七章 C.D.の計略
四人の死闘
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(何故無抵抗だった?駆君の話は半ばで途切れたが、彼とてリーゼロッテ・ヴェルクマイスターと戦い、そのほかにも強敵と戦いを繰り広げてきた男だ)
その駆という男が、あれだけ声を荒げて警告を促してきた敵が・・・・?
(我々が倒せたというのはまだいい。だが無抵抗?無抵抗の敵を、駆君がそんなにも警告するものか・・・・?)
美鈴の思考が脳内を駆け巡る。
異形、非常識の類である魑魅魍魎を相手取る陰陽師の彼女だからこそ、不可解な敵の行動が目についたのだ。
だが遅い。
この段階ではすでに遅い。
ぶつぶつと考えうつむく彼女には気づけなかった。
その時彼女は足元を見るのではなく、もっと周囲の状況を見るべきだった。
あれだけの炎を、身動きが取れない中、ドームに覆われて全身晒されているにもかかわらず
「みなさん・・・おかしいですよ・・・・」
菊理は気づいた。
周囲を気遣う彼女の普段の性格の良さが、その場の異常に気付いたのだ。
「赤い夜が」
そう、この赤い夜は男の物。
それは発覚している。その男が今あんな状況であるにもかかわらず
「まだ・・・・」
赤い夜は、解ける様相もなく健在なのだから。
「「「!!!!」」」
残りの三人が気付いた時にはそれはすでに迫っていた。
ドス黒く染まった魔力の巨大な塊が、隕石のように四人の真上に落下してきたのだ。
四人は思い思いにその場から飛び出し、それ自体は回避する。
だが地面に落下したその隕石は地面に埋まるとバラリとほどけ、何匹もの禍々しい化物となって悲鳴のような鳴き声をあげた。
「ら、ラルヴァ!?」
「さっまで全然居なかったのに・・・・」
「ラルヴァ」と呼ばれる、この「赤い夜」という世界限定の敵。
闇精霊ともいわれるこいつらは、生きるものを標的に襲い掛かる存在だ。
雪子、賢久は地面を転がってドームとは対角線上に一緒に回避し、菊理はアブラクサスに抱えられて空に。
美鈴は頑強な鉋切長光、そして幅広の火車切広光をビル壁に突き立てその上に立ち状況を見る。
バキン!!
「あう!」
「そいつら?邪魔だからずっと空にいてもらっただけさ」
そうしていると、菊理が思わず声を発し、直後炎のドームからも声がした。
全員が理解した。
バキンという音。
それは、菊理のアブラクサスがあの男をしばりつけていた鎖の砕けた音だ。
ドームからの声。
その涼しげな音は、あの男がまるでダメージを負っていないということを。
ギィギィと鳴き声を荒げるラルヴァ共は、やっと四人を発見したのか襲い掛かろうと触手をうねらせる。
だが
「ヘ・ン・シ・ン・
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