暁 〜小説投稿サイト〜
とある3年4組の卑怯者
89 強敵(ライバル)
[1/3]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 藤木はスケートの大会に出場するために必要な書類の入った封筒を持ち、自前のスケート靴を持ちながら家に帰っていた。
(片山さん、本当にありがとうございます。僕は絶対にこの大会に出て、優勝して見せます!そして堀さんもありがとう。僕、君の事、好きになってもいいだろうか・・・?)
 藤木は堀の美しさのみならず、優しさにも惚れた。もしリリィに笹山との仲が良好だった頃の藤木なら堀にまで好意を伸ばすのはご法度だったろう。以前リリィの友達のメイベルが可愛いと思ったり、城ヶ崎のピアノの応援で大阪に行った時、ピアノを弾く城ヶ崎や雲沢ゆかりという美少女の姿に心を奪われたり、リリィと飛騨高山に旅行に行った時、花輪の従姉妹のルリ子に鼻の下を伸ばしかけた事があった。しかし、その時は自分にはリリィと笹山以外の他の女性に恋してはならないと自制してきた。しかし、好きだった二人からはどちらからも嫌われた今、堀に一途になろうと藤木は考えていた。
 
 みどりは堀と帰る時、まさか堀も藤木が好きになったのではないのかと疑った。しかし、言ってみる勇気もない。
(だめだ・・・。堀さんもまさか藤木さんが好きになったのですかなんて怖くて言えない・・・)
 みどりはそのまま堀と別れて帰った。

 夜、藤木は両親に大会の書類を差し出した。必要事項は大体記入されていた。後は印鑑の押印で済む。
「父さん、母さん、俺、スケートの大会に出てみようと思うんだ。いいかな?」
「スケートの大会だと?お前、無謀な事考えるな」
「茂、アンタ大会なんて幾らスケートが得意だからって簡単に優勝できるわけじゃないんだよ。分かってるのかい?」
「分かってるさでも・・・」
 不幸の手紙を出して皆から嫌われた見返しと言いたいが、それを言ったら絶対怒って許さないだろうと思い、別の理由を考えた。
「その・・・、自分の実力を試してみたいんだ。皆から卑怯者って言わてるけど大会に出て自分はこういう凄い経験をしたって自慢できるようにしたいんだ!」
「しかし、何も賞が獲れなかったらただ参加したって事になるんだぞ。もしそうなった場合、お前は自慢できるのか?」
「う・・・、それは・・・」
 藤木は困惑した。確かに何の栄冠も掴めなかったらだからなんだと思われるだろう。その時、電話が鳴る。藤木の母が出た。
「もしもし」
『藤木さんのお宅でしょうか?私は元スケート選手の片山次男(かたやまつぐお)と言う者です』
 藤木の母は元スケート選手という肩書に驚いた。
「は、はあ、何か御用ですか?」
『息子さんからお聞きになられましたか?スケートの大会に出るという事を』
「は、はい、今そのことについて話していた所です」
『是非茂君にスケートの大会に出させてあげてください。私はあの子のスケートの技術に非常に驚いたんです。ジャンプやス
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ