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世界をめぐる、銀白の翼
第七章 C.D.の計略
闘争の魔獣
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ゆかだが、突如として身体が固まった。
駆の言葉に気の抜けた返事しかできなかったが、彼女もかつて、彼と共に変異に立ち向かったのだ。体が自然に反応したのだろう。

だがあれはあくまで非日常。
彼女にとって、やはりこういうのは慣れないものであり、身体が全くついていかない。対処できない。

対して、駆はよく見えていた。
男がこちらに向かう2秒前にはもうすでに、この光景は見えていた。


(狙いはゆかか!!)

駆の見た、未来のビジョン。

男の手は獣のそれへと変貌し、禍々しくも見える鋭利な爪は、彼女の腹部に突き立てられる――――!!!


「させるかァ!!!」

駆の叫び。
それと同時に、そのビジョンは掻き消え彼女の前に立つ自分自身へと入れ替わる。

が、その場合の男の狙いは別の部位へと変わっており


「ッ、こいつ・・・・狙いは・・・・!!!」

「邪魔をするな、小僧!!!」


ゆかと男の間に立つ駆。
その駆の顔面―――――正確には、その右目に秘められた黄金の輝き―――に向かって、男の二本指が突き立てられようと迫る。


瞬間


ドガン!!

「ヌッ!?」

「うわぁ!?」


突き出されようとする男の腕の内側に、つっかえ棒になるようにドッガハンマーが落ちてきた。

重さに身を任せたその落下は、直近の男にはそれなりの衝撃を与え身をひるませ、さらにそれを掴んで同時に落ちてきたキバ・ドッガフォームの剛拳を思い切り脳天に喰らうこととなる。



「ゴァッ!!」

「今だ!!」

「ドッガ・バイト!!!」


頭を押さえ後退する男に、更なる追撃を与えんとキバがドッガハンマーを振り上げキバットが噛み付く。

すると、突如として周囲が闇夜に染まりどこからか雷の音が――――



「それは省略!!!」

「お、おう!!だってよ!!」


魔皇力が充填され、先端が拳になっているのドッガハンマーのそれが、手の平を露わにするように開かれる。

外界にさらされたその掌には、ギョロリと光る一つの瞳。
その視線から放たれる力は煙となって具現化し、その一帯の、一切の者を縛りつける。


「ぐ、これは」

己の身に起きた異変を感じるも時はすでに遅い。

役目は終わりと閉じられたハンマーの拳が、特大の破壊力を持って男に向かって振り下ろされた。



ドンッッ!!!


あまりの衝撃に、地面のアスファルトやタイルが砕け宙に舞い、周囲を砂埃で覆い隠す。


これだけの威力のある一撃を、まともに防御もできない状態で喰らったのだ。
男はまず、ひとたまりもないはずだ。


少なくとも、ゆかとキバットはそう思った。


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