第七章 C.D.の計略
闘争の魔獣
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ゆかだが、突如として身体が固まった。
駆の言葉に気の抜けた返事しかできなかったが、彼女もかつて、彼と共に変異に立ち向かったのだ。体が自然に反応したのだろう。
だがあれはあくまで非日常。
彼女にとって、やはりこういうのは慣れないものであり、身体が全くついていかない。対処できない。
対して、駆はよく見えていた。
男がこちらに向かう2秒前にはもうすでに、この光景は見えていた。
(狙いはゆかか!!)
駆の見た、未来のビジョン。
男の手は獣のそれへと変貌し、禍々しくも見える鋭利な爪は、彼女の腹部に突き立てられる――――!!!
「させるかァ!!!」
駆の叫び。
それと同時に、そのビジョンは掻き消え彼女の前に立つ自分自身へと入れ替わる。
が、その場合の男の狙いは別の部位へと変わっており
「ッ、こいつ・・・・狙いは・・・・!!!」
「邪魔をするな、小僧!!!」
ゆかと男の間に立つ駆。
その駆の顔面―――――正確には、その右目に秘められた黄金の輝き―――に向かって、男の二本指が突き立てられようと迫る。
瞬間
ドガン!!
「ヌッ!?」
「うわぁ!?」
突き出されようとする男の腕の内側に、つっかえ棒になるようにドッガハンマーが落ちてきた。
重さに身を任せたその落下は、直近の男にはそれなりの衝撃を与え身をひるませ、さらにそれを掴んで同時に落ちてきたキバ・ドッガフォームの剛拳を思い切り脳天に喰らうこととなる。
「ゴァッ!!」
「今だ!!」
「ドッガ・バイト!!!」
頭を押さえ後退する男に、更なる追撃を与えんとキバがドッガハンマーを振り上げキバットが噛み付く。
すると、突如として周囲が闇夜に染まりどこからか雷の音が――――
「それは省略!!!」
「お、おう!!だってよ!!」
魔皇力が充填され、先端が拳になっているのドッガハンマーのそれが、手の平を露わにするように開かれる。
外界にさらされたその掌には、ギョロリと光る一つの瞳。
その視線から放たれる力は煙となって具現化し、その一帯の、一切の者を縛りつける。
「ぐ、これは」
己の身に起きた異変を感じるも時はすでに遅い。
役目は終わりと閉じられたハンマーの拳が、特大の破壊力を持って男に向かって振り下ろされた。
ドンッッ!!!
あまりの衝撃に、地面のアスファルトやタイルが砕け宙に舞い、周囲を砂埃で覆い隠す。
これだけの威力のある一撃を、まともに防御もできない状態で喰らったのだ。
男はまず、ひとたまりもないはずだ。
少なくとも、ゆかとキバットはそう思った。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ