第225話 弾雨と閃光
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夜空の暗闇を、幾つもの白煙が駆け抜けていく。流星群のようにも見えるその実態は、やがて俺達を飲み込まんとする濁流へと姿を変えた。
『先輩ッ!』
「――くッ!」
鮎子の叫びに突き動かされるように、俺は後ろへ飛び退いていく。その流れに勢いを加えるため、鮎子は両足のバーニアを噴射させた。
脹脛に装備されたバーニアの推力は、弾くように俺の身体を後方へと導いて行く。そして――俺の足元を、降り注ぐ流星群が吹き飛ばしていった。
小型ミサイルはホーミング機能も備えているらしく、全てのミサイルが一箇所に着弾したわけではなかった。
急降下した飛行機が地表すれすれで持ち直すように、軌道を修正してさらに追尾してくる弾頭もあったのだ。
『くう、うッ……!』
鮎子は苦悶の声を漏らし、バーニアの噴射角を不規則に変えていく。
右へ左へ。上へ下へ。
そうして撹乱を繰り返せば、単純な追尾プログラムしか持たないミサイルにも限界が来る。
その縦横無尽な動きに軌道を乱されたミサイルは、一つ、また一つと、俺達を捉えきれずに地面で爆発していった。
そして、その最後の一発を凌ぎ――
『ミサイルの全弾回避を確認……!』
「よし、体勢を立て直して――ッ!?」
――反撃に移ろうと顔を上げる瞬間。
既にラドロイバーは、二射目に入ろうとしていたのだった。
『速い……!』
「もう装填が終わったのかッ!?」
『先輩、「超機龍の鉄馬」に! 最高速度で振り切るッ!』
「……よし!」
あの弾幕を何度も繰り返されては、こちらも対処のしようがない。しかし、手をこまねいていては鮎子が持たない。
――ここは、鮎子のもう一踏ん張りに賭けるしかない、か。
俺は踵を返し、近くまで来ていた「超機龍の鉄馬」に飛び乗る。鮎子が急発進で地表から飛び出したのは、その直後であった。
「……」
そんな俺達を静かに見上げながら、ラドロイバーは地上から第二のミサイル弾幕を斉射する。再び、無数の弾頭が俺達を猛襲するのだった。
『う……く、ぅッ……!』
夜空を疾走する俺達二人を狙う、数十発のホーミングミサイル。その追撃をかわすため、鮎子はミサイル同士の誘爆を狙っていた。
螺旋状に回転し、ミサイルに自分の動きを真似させながら――上下左右に機体を振り、弾頭の衝突を誘う。
俺の背で、幾つもの爆音が轟いていることを考えれば、この作戦は成功したと言っていいのだろう。
『う……ぅ、う……』
「もう……少しだ、鮎子ッ!」
――だが、鮎子に掛かる負担は生易しいものではなく。螺旋状の回避で順調にミサイルを凌いではいるが、この機体を飛ばしているバーニアの勢いは、目に見えて弱りつつあった。
最大速度でこの機
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