第225話 弾雨と閃光
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! 先輩は、何を守りたいの!』
そして、鮎子の一言が――俺の葛藤を断ち切らせて行く。
俺を、ここまで連れてきてくれた……みんなのために。そして……!
「……俺のために、力を貸してくれ!」
『……了解!』
その決意に応えるように。鮎子は、「超機龍の鉄馬」を飛び降りた俺を――精一杯のバーニア噴射で、弧を描くように舞い上がらせて行く。
刹那、俺達のそばを通り過ぎて行く弾頭の流星群が――蒼いマシンを、爆炎で飲み込んで行った。
生まれ出る激しい爆風は、俺達を後押しするように大敵の元へ誘う。ラドロイバーが一瞬、俺達を見失う程の――最高速度だった。
『う、ああああぁあぁあっ!』
「鮎子ッ!」
それと時を同じくして、ラドロイバーに向かっていた装甲ジェットの推力も……その力を失ってしまう。
頭脳となる鮎子の脳波を受信していた「超機龍の鉄馬」が撃墜されたのだ。……当然、だろう。
『先輩……あと、は……』
「――任せとけッ!」
ノイズに掻き消され、次第に途切れて行く鮎子の声。せめて希望を持って帰りを待てるように――俺は、精一杯の威勢を込めて応えて見せた。
そして、鮎子の通信は完全に途絶え――二段着鎧の装甲がただの鎧となる。
だが、それで十分。
ラドロイバーの両肩に乗っていたミサイルランチャーは、弾切れになったらしく既にパージされている。しかも、最後の全力噴射が付けてくれた勢いのおかげで、ジェットが切れても十分飛び蹴りが狙える。
――そして、鮎子が最後の力を振り絞って導いてくれた先は……ラドロイバーの背後。加えて、今の彼女は爆風と鮎子の速さに撹乱され、俺を見失っている!
……行ける。鮎子が残してくれた力を掛け、ラドロイバーに渾身の突撃をぶつけてやる。この一撃に、全てを掛けて!
「これで、全て終わりだッ――!」
そう、決意した時だった。
「……そこでしたか」
ラドロイバーの首が――ギュルリと、こちらを向く。
まるで、俺の居場所など初めからわかっていたかのように。
「なっ……!」
あれ程、速く動いていたというのに……もう俺の正確な位置をッ……!?
そう驚いた頃には既に――
「確かに、大部分の兵装は失いましたが……」
――俺の胸は、真紅の閃光に貫かれていた。
「生体センサーとレーザーシステムは、まだ生きていますから」
「……ちく、しょう……ちくしょう……!」
悔し涙を流す力さえ、出なかった。
俺の意識は、胸を貫く一閃によって――あっさりと、刈り取られてしまった。
……なにも、出来ずに。なにも、応えられずに。
こんなところで……俺は……。
「――もう少し……もう少
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